10話 さすがに親の顔よりは見ていない『初期スタート地獄』。
10話 さすがに親の顔よりは見ていない『初期スタート地獄』。
(1はないと信じたいが、可能性ゼロじゃねぇんだよなぁ。2が一番有力。その場合、色々と矛盾や不都合なんかが生じる気がするが……この記憶改ざん現象が、そういうのを完全にどうにかする超越システムってことも考えられる。3の可能性も……まあ、あるけど、その場合は、俺がイカれていました、ちゃんちゃん、で終わりだから、考えなくていい)
などと考えていると、
途中で、モンスターが襲ってきた。
最下級の鬼、それにゴブリンの群れ。
統率がとれているわけではなく、たまたま近くにいたのが一斉に襲い掛かってきた感じ。
存在値で言えば20前後の分際で、
しかし、一丁前に殺意を剥き出しにして飛びかかってくる。
「ほいほいほいっ」
サクサクと処理していく。
踏み込み、躱し、最短距離で急所を潰す。
存在値2の身体でも、染みついた戦闘力は裏切らない。
ただ、体の反応速度と実際の動きの間に、明確なラグがある。
頭では次の動きがすべて把握できているのに、3歳児の手足がそれに何拍も遅れてついてくる。
その差分だけ、いつもより泥臭く、力任せの決着になる。
(ん……一応、この感じだと……本気出せば、存在値1000以上のやつが相手でも殺せないことはないだろうが……範囲殲滅系の魔法をくらったときがダルいな……まあ、もちろん、俺なら、そう簡単に死なないだろうけど……)
モンスターを倒したついでに素材も回収しておく。
何度も『初期スタート地獄』は経験しているので、サバイバル根性はしみついている。
モンスターの素材だけではなく、薬草や木の実なんかの、使えそうなものは一応採取しておく。
そんなことをしていると、
一度、自然種の中級モンスター、
『ゴーレム』が現れて、センの行く手を塞いだ。
全長3メートル級。
岩と鉄が混ざったような巨体は、見るからに耐久力と攻撃力に優れている。
存在値は60以上。
並の冒険者なら回れ右をするレベル。
だが、センは、そんなゴーレムを見上げて、
息切れしている体を起こし、
「はぁ、はぁ……俺の配下の中には、お前の最高位種であるフッキゴーレムなんかもいるんだぜ。はぁ、はぁ……そんな俺が……お前に遅れをとることがあると思うかい?」
軽口を叩きながら間合いを詰める。




