17話 とりあえず、お前ら、一人ずつ、俺を30回ぐらい殺せ。
17話 とりあえず、お前ら、一人ずつ、俺を30回ぐらい殺せ。
トウシは、できるだけ感情を挟まず、論理だけで配下たちを説得しようとした。
しかし、もちろん、それで納得するような連中ではない。
狂信者の中の狂信者たちをナメてはいけない。
平熱マンは一歩も引かず、まっすぐにセンを見たまま言う。
「拠点を守る事も大事ですが、交渉において侮られない事も大事です。交渉を有利に、そして円滑に進めるためにも、数で軍勢を見せつけることは必要な一手かと存じます」
頑固な平を見つめながら、センは天を仰ぎ、
(なんか一個行動するたびに、この説得のターンが入るの、マジでダルいんだが……)
そこから、誰が同行するべきか、何人で向かうべきか、拠点防衛をどうするのか、もし交渉が決裂した場合にどう動くのか、いつものように長い討論が始まった。
センとしては、『ラッキ軍の戦力』が調査通りなら、どう考えても自分とトウシだけで十分だと思っている。
むしろ、大人数で動く方が危険だとさえ考えていた。
守る対象が増えれば、それだけ事故の可能性も増える。
しかし、配下たちからすれば、偉大な命の王を『異銀河の支配者』のもとへ少人数で向かわせるなど、到底受け入れられる話ではなかった。
しばらく不毛な議論が続いたあと、センはついに折れた。
「わかった。しかし、何かあった時のために逃げられる準備は整えておけ。あと俺の神器を貸すから防御態勢を整えろ。転移術式も重ねろ。結界も増やせ」
そこまで言ったところで、センはふと黙り込み、少し考えてから、さらに深刻そうな顔になった。
「……いや、やっぱり不安だな。お前らに渡したアザトライザーがある程度の値になるまでは、動くのをやめておこう」
その場にいた全員が、嫌な予感を覚えた。
センは大真面目な顔で続ける。
「とりあえず、お前ら、一人ずつ、俺を30回ぐらい殺せ。それだけの経験値があれば、ある程度は上がるはずだ。存在値150垓の俺を30回もやれば、さすがに10000%は超えるはず……いや、わざと殺されてやるパターンだと、そこまでは上がらないか……ま、とにかく、ついてくるやつは、かかってこい」
会議室が沈黙に包まれた。
誰も何も言わない。
ただ、センだけが本気で合理的な案を出したつもりの顔をしている。
やがて、配下筆頭の平熱マンが、深々とため息をついた。
怒りというより、呆れと悲しみが混じった顔だった。




