11話 ラッキ護衛軍。
11話 ラッキ護衛軍。
(……ウチの愚連と大差ねぇな……)
内心でそう呟くセンB。
資料に記されている一般兵の数値は、かなり高いものの、まだ常識の範囲内。
(しかし……『ラッキ護衛軍』とやらだけは別格っぽいな……)
会議中の将軍たちは、国家間戦争や魔物災害については平然と語る。
だが、『ラッキ護衛軍』の名前が出た瞬間だけ空気が変わる。
将軍たちの声音には、敬意と畏怖、そして絶対的な信頼が混じっていた。
(その辺もウチと似ている……)
センの銀河にも似たような構造。
一般戦力とは比較にならない超越者集団である『栄えあるゼノリカの天上』。
この世界では、『ラッキ護衛軍』がそれにあたる模様。
(この世界を支配しているコスモブラッド『クイーン・ラッキ』……凄まじい力をもった女王だという情報はあるが……)
資料を何枚も読み漁る。
だが、詳細は秘匿されていた。
上級将校ですら正確には把握していない。
(……この感じは……ウチと同じで、ラッキとその護衛軍だけは『異常な数値』になっているからテキトーに伏せているという線が濃厚か……具体的な敵の戦力を調べるには、『ラッキの城』を調べるしかないな……)
★
センBが軍関係を調べている裏で、センCは裏社会の情報収集にあたっていた。
その世界の本質を知るには、軍や王よりも、むしろ犯罪者を見た方が早いこともある。
センCがターゲットに選んだのは、この世界でも有数の巨大犯罪組織――開運商会。
開運商会の本拠は、表向きには巨大闘技場として運営されていた。
毎日数万人の観客を集める娯楽施設であり、剣闘士や魔獣が血を流す興行場。
しかし、その地下には、まったく別の顔が広がっている。
奴隷市場、裏オークション、誘拐組織、暗殺部門、詐欺部門、違法薬物流通網、人身売買、強盗団。
悪に関することなら何でも取り扱う巨大犯罪ネットワーク。
開運商会は、この世界における最大級のマフィアだった。
センCは不可視化したまま地下へ侵入する。
警備は厳重だった。
侵入検知結界、警戒用魔獣、監視魔導機、武装戦力、他組織との抗争を想定した迎撃設備。
裏社会の拠点としては異常なほど充実している。
地上の熱狂とは対照的に、地下は湿った静けさに沈んでいた。
(……仮に、この世界のコスモブラッドである『ラッキ』が、俺と同等の力を持っているなら、この規模の犯罪組織に気づいていないわけがない)




