10話 『犬死に』は、俺に対する最大の不敬だと知れ。
10話 『犬死に』は、俺に対する最大の不敬だと知れ。
センは深いため息をつき、
「この銀河のコスモブラッドが、俺と同等の力を持っていた場合、お前らじゃあワンミスで死ぬ可能性が高い。その点、ちゃんと考えて発言しろ」
場の空気が少しだけ重くなる。
センは容赦なく続けた。
「ハッキリ言うが、現状ではお前らが弱すぎて使えない。……こんな悲しいこと、言わせんな」
誰も反論できない。
センの存在値は150垓。
トウシは80垓。
対して、シューリ77京、アダム63京、他のメンツは30京以下……
現状では、『セン&トウシ』と『それ以外』で、とんでもない差がある。
「どうしても役に立ちたいというのなら、誰が襲ってきても死なないぐらい強くなれ。……『今すぐに』なんて無茶を言う気はない。諸々の面倒が終わったあとで、じっくりとな」
センは全員を見渡しながら言う。
「忘れるな。無駄に死ぬことは仕事じゃねぇ。『犬死に』は、俺に対する最大の不敬だと知れ」
その一言で、配下たちは完全に沈黙した。
己のふがいなさをかみしめながら。
★
センのアバターラは高性能である。
単なる分身ではない。
本体と同等の思考能力を持ち、本体と常時情報共有を行う超高性能偵察端末。
二十体もいれば、一つの銀河を調査するには十分すぎる戦力だった。
各地へ散開したアバターラたちは、凄まじい速度で情報を収集していく。
そのうちの一体。
――『センB』は軍事調査を担当していた。
不可視化状態のまま各国を巡り、軍事施設へ潜入する。
兵舎。
訓練施設。
軍司令部。
王城直属の参謀本部。
ありとあらゆる場所へ忍び込み、情報を収集していった。
結論から言えば、この世界の軍事体系は、センの知る銀河と大差なかった。
銃器や核兵器等は存在しない。
主力は剣と魔法。
空戦は竜騎士。
突貫は大型魔獣や高位騎士。
戦車や戦闘機の代わりを務めているのは、強力な個体戦力……ようするに、高存在値の個人だった。
センBは将軍の執務室へ侵入し、機密資料を読み漁る。
続いて軍議室へ移動。
会議中の将官たちの会話を盗み聞く。
さらに参謀本部の記録保管庫へ潜り込み、軍事ファイルを精査した。
そこで得られた情報を整理しながら、
(……一般兵の上澄みが存在値300前後……ウチの愚連と大差ねぇな……)




