6話 いざ、異銀河へ。
6話 いざ、異銀河へ。
――静かな森の中。
何の前触れもなく、空間がゆらりと歪んだ。
木々の隙間に広がった歪みは徐々に形を整え、やがて巨大な扉となってその場に出現する。
周囲の自然は何事もなかったかのように静まり返っていた。
鳥のさえずりが聞こえる。
風が枝葉を揺らしている。
そんな平穏な景色の中で、異質な扉だけが存在していた。
やがて、その扉が開く。
最初に現れたのはセンだった。
もっとも、その姿は誰の目にも映らない。
不可視化の術式を展開し、その上で、さらに変装まで施している。
未知の世界に足を踏み入れる以上、正体を晒す理由はどこにもない。
何が起きても即座に対応できる状態を維持したまま、センは慎重に扉の外へと出た。
周囲は森。
高く伸びる樹木。
湿った土の匂い。
濃密な生命の気配。
センは周囲を観察しながら索敵を行う。
(特に強い反応はない……)
これまでの経験上、特殊な世界に踏み込んだ際は、待ち伏せしていた先兵に襲われることも珍しくなかった。
だからこそ警戒していたのだが、今回はいきなり襲撃を受けることはない。
(油断させておいて、背後から撃ってくるケースもあるからなぁ……)
警戒を解かないまま、慎重に周囲探索を進める。
すると、背後の扉からもう一人の人影が現れた。
銀河一の天才……田中・イス・トウシ。
「どんな感じ?」
「今のところ、問題はなさそうだが……油断はしない方がいい。亜空間からいきなり異次元砲を放ってくるみたいなこともありえない話じゃねぇ」
「ビビりすぎ……とも言えんのよなぁ……アサルトアルファで得た情報が事実なら、この異銀河には、センと同じ『コスモブラッド』がおるって話やし……」
コスモブラッド。
この世界全体を演算している汎用量子コンピュータ『コスモゾーン』と融合した、銀河の支配者。
セン自身もその一人であり、その力がどれほど理不尽なものかは誰より理解している。
「……索敵範囲を拡大させてみたが……この森の中にいる生命体の存在値は、『弱いやつ』が2ぐらい、『強いやつ』でも100ぐらい。龍もいるが……普通の『エルダードラゴン』が、この森の最強個体。……俺らからすればヤモリとかわらねぇ。エルダーが謎の『異銀河神化』的なものをしてきて、存在値が一気に1000垓ぐらいになる可能性もゼロではないが……」




