3話 俺もそう思った。
3話 俺もそう思った。
出撃前、配下たちが軍を編成したり、
それにともない、それまでの仕事の引継ぎをしたりしている間、
――センはトウシにアザトライザーの解析を依頼した。
「これがアザトライザーか……なかなかイカつい神器やな……」
トウシは興味深そうに眺める。
「こんないいもん、俺一人しか持ってないってのは、あまりにもったいねぇ。どうにか複製できねぇか? できたら、強化した上で」
「……ま、やってみよか」
そう言って、自身の携帯ドラゴン『エルメス』を召喚し、
コスモゾーンにハッキングをしかける。
エルメスの周囲に無数の解析ウィンドウが展開された。
流れ落ちる文字列の速度は、隣で見ているセンには到底追いきれないほどだった。
「……神字回路が全部エクリプスコード化されとる」
そう言いながらエルメス上に解析結果を展開する。
「表層は普通。複製防止用の神字もあるし、所有者認証もある。せやけど、その辺は飾りみたいなもんやな」
「だよな。俺もそう思った」
「本体はこっちや」
トウシは中枢領域を指さす。
「神工知能やなくて、その奥やな」
「俺もそう思った」
「神工知能を縛っとるアリア・ギアス層や。神字回路の深層に疑似人格がおるんやけど、そいつですら勝手なことはできんようになっとる」
「俺もそう思った」
「……話、聞いとる?」
「………………AI的なアレ的なあれがどうこう、という認識で大丈夫でしょうか、先生」
「まあ、そんなもんや」
トウシは肩をすくめる。
「複製されること自体は想定しとるんやろな。せやからコピー対策はそこまででもない」
「へー」
「重要なんは中身や。アザトライザーの価値は神器本体やない。神工知能が蓄積した成長履歴と、そこから生成される強化データ」
解析窓を流し見しながら、
「コピーはなんぼでも作れる。けど、中身を書き換えようとすると神工知能が反応する。しかも、その神工知能を縛っとるアリア・ギアスがエグい」
「へー」
そこで、トウシは複製を開始する。
センにはトウシが何をやっているのかさっぱりわからない。
神字回路を展開し、
神工知能の管理権限を一時取得。
中枢エクリプスコードを複製。
疑似人格の認証情報を再構築。
所有者情報を書き換え。
アリア・ギアスの監査条件を満たした状態で再封印。




