最終話 パワハラ。
最終話 パワハラ。
「そもそも、再連の者たちを守るために御身自らが危険を冒された時点で、本来であれば十分すぎるほどの御配慮でございます。その先に起きたことまで、ご自身の責任として背負われる必要など、どこにもございません」
その瞬間、
――会議室の空気が変わった。
センの凍てつく覇気がさらに鋭利になっていく。
居並ぶ配下たちが、無意識のうちに息をひそめた。
「……3人も誘拐されておいて、『落ち度がない』だと? ……まさか、お前ら、自分の配下が、テメェの弱さが原因で誘拐されても、自分に責任は何一つないって言う気か? だとしたら、殺すぞ。ナメんなよ――『人の上に立つ』ってことをよぉ」
平熱マンは口を閉ざした。
どんな敵を前にしても怯まない。
どんな強敵を前にしても一歩も引かない。
勇気そのものを形にしたような男。
究極超勇者の称号を持つ平熱マンですら、本気で怒っている時のセンの前では震えを止められない。
決して、表情には出さないように気をつけているが、脂汗が止まっていない。
「マジで、あんまナメたことぬかすなよ。……俺にパワハラ決めさせんじゃねぇ……死にたくなるからよぉ」
――重苦しい沈黙が落ちる。
その時だった。
会議室に設置された通信端末が反応。
優先度の高い回線だった。
発信者を確認したブナッティ・バロールが、わずかに目を見開く。
「失礼。主よ……閃朝日殿下からです」
その名を聞いた瞬間、センは椅子にもたれかかっていた身体を起こした。
本来であれば、王への通信には煩雑な手順が求められる。
取次役を経由し、身分確認を行い、定められた形式に従って発言の許可を得る。
センエースほどの絶対者になると、誰かが直接話しかけるだけでも複数の確認や儀礼を経るのが常識。
平時であれば、その手の面倒にも、文句を言いつつ、テキトーに付き合うが、
しかし、今のセンには、そんなものに付き合う余裕が一切ない。
「今は、形式ばった流れは無視しろ」
鋭い声が飛ぶ。
「簡潔に情報を伝えるんだ。マジで今の俺を、これ以上怒らせるんじゃねぇ」
「は、はい!」
バロールは背筋を伸ばし、即座に通信内容の確認へ移った。
本来であれば、セン自身が直接話を聞くべき案件だった。
だが、それを求めれば、今度は『いかに緊急時とはいえ、主君が直接対応するなど――』といった類の面倒な議論が始まりかねない。
これだけ脅しをかけている以上、この場では誰も口にはしないかもしれない……が、しかし、可能性がゼロではない以上、余計な手間は最初から潰しておくに限る。
センは苛立ちを抑えながら、報告役をバロールに任せることにした。
通信内容を確認したバロールは、すぐに報告を開始する。
「恐れながらご報告申し上げます、主よ。例の扉につきましては、ただいま開放が確認されたとのことでございます!!」
ここまで読んでいただけたこと、心より感謝を!!
恐ろしいほど紆余曲折ありましたが、
なんとか、最終話までたどり着くことができました!
これも、ひとえに、読者の皆様が支えてくださったおかげです!
本当にありがとうございました!!!
記念すべき最終話のタイトルがパワハラというのもいかがなものかと思いますが、
それでも、まあ、全体通してみれば、それなりにキレイなオチになったかな、と思っております!




