81話 あまりにざまぁねぇ。
81話 あまりにざまぁねぇ。
「俺が弱すぎた。それだけだ。だからこそ、謝罪されると余計に惨めになる。必要のない場面で俺に謝罪するな」
ゴーバイは息を呑む。
表現できない感情の中で、
「……い、いったい何が……これは、どういう状況なのでしょうか……」
問いかける声は震えていた。
だが、センは答えない。
代わりに、どこか遠くを見るような目で呟く。
「何かあった時のための保護者を気取っておきながら、自分だけ呑気に生き残るとは、あまりにざまぁねぇ……あいつらの生死なんざどうだっていいが、この恥だけはすすがねぇと、みっともなさすぎて、生きていけねぇ」
その言葉に、ゴーバイは何も返せなかった。
神帝陛下が語っている内容よりも、その口調の方が恐ろしかった。
怒りに震えている。
他人にではない。
自分自身に。
恐ろしいほどの怒りで身を焦がしているのが、ひしひしと伝わってきた。
「あ、あのぉ……私は、どうすれば――」
恐る恐る声を出したところで、センが振り返る。
その瞬間、ゴーバイは反射的にピンと背筋を伸ばした。
センは研ぎ澄まされた目と声で、
「命令だ。しばらく、他の世界は探さなくていい。第75アルファの行方だけ、異世界探索部署の全力で探せ。別に、見つからなくても罰をあたえる気はないが、できるだけ死ぬ気で頼むぜ」
ゴーバイは目を見開いた。
それは異世界探索部署の年間計画を根底から覆す命令だった。
新世界探索。
既存アルファ観測。
危険世界監視。
それら全てを止めろと言っているに等しい。
「あ、えと……し、しかし、ドナ様の命令で、仕事のスケジュールは年単位ですでに厳格に、その――」
最後まで言えなかった。
センの視線が向いたから。
「王の仕事は責任を取ること……ゆえに、第75アルファ探索の件で、どれだけ結果が出なかろうと、どれだけデカいミスをしようと、それを咎める気は一切ない。だが、配下でありながら、俺(王)の命令を最優先にしないというのであれば、それは大問題だと言わざるをえねぇ」
ゴーバイの身体が硬直する。
「ドナの命令の優先権なんか、俺の命令の遥か下の下の下に決まってんだろうが。理解したか? 返事は」
「は、はい!!」
返答と同時に、ゴーバイは深々と頭を下げる。
異世界探索部署の若手職員としてではなく、ゼノリカの支配下にある民として。
王に対する絶対服従の姿勢で。
そしてその直後から、第七十五アルファの捜索計画を一から組み直すため、必死に端末を操作し始めた。




