78話 トウシ?
78話 トウシ?
サトーはコーヒーカップを置いて、
「今回の大問題を解決するために、トウシくんに依頼したんですよ。まあ、彼はもともと動くつもりだったっぽいですが――」
「ぴよぴよ(トウシってだれ?)」
「……は?」
サトーの言葉が止まる。
「いや、トウシくんですよ。高校の時の同級生の田中トウシくん」
「ぴよぴよ(知らないけど)」
「いやいや」
思わず笑う。
冗談だと思ったから。
「僕やあなたのような超秀才ですら足元にも及ばない、ぶっちぎりの天才ですよ」
「ぴよぴよ(……知らない)」
ホウマは首を傾げた。
「ぴよぴよ(そんな名前、聞いたこともない)」
サトーの笑顔が固まる。
カップを持つ手が、わずかに止まった。
「……え?」
★
意識が明確になっていく。
深い水底から引き上げられるような感覚と共に、ペン(セン)はゆっくりと目を開いた。
視界に映ったのは、巨大な魔導ゲート。
ここは、異世界探索部署。
『第七十五アルファ(アサルトアルファ)』へと繋がる転移施設。
白い壁面も、巨大な環状ゲートも、術式制御盤も、
転移する直前の光景と何一つ変わっていない。
(ここは……第二アルファ……で、間違いないか……)
周囲をうかがっているペン。
と、そこで、制御端末を操作していたゴーバイが、
突然目の前に現れたペンを見て首を傾げ、
「あれ?」
端末とゲートを交互に確認しながら、
「間違いなく第75アルファに転移させたはず……もしかして、帰還の指輪を使いました?」
ペンは返事をしない。
まず状況を整理する。
周囲の魔力反応を確認し、ゲートの稼働状態を把握し、ゴーバイの反応を観察する。
そして、自分の『状態』にも意識を向けた。
(存在値は元に戻っている……エグゾギアの指輪もある……アザトライザーも……)
ちなみに、トウシとの激しい戦いでアザトライザーも大きく成長しており、
アザト・エグゾギアの補正も含めると、
現在のペンのアザトライザーは、1万%(ほぼ100倍)を超えている。
本来の存在値が1垓5000京なので、
この時点におけるペンの存在値は150垓。
(死ぬほど強くなれたが……犯したミスがデカすぎて、ちっとも喜ぶ気になれねぇ)
あらかた自分の状況を確認した上で、ようやく口を開く。




