76話 身代わり。
76話 身代わり。
「世界は無数に存在するが……それを内包する器『銀河』も無数に存在する。君は君の銀河のコスモゾーンに選ばれて、コスモゾーンと融合した者『コスモブラッド』になった。よって、君の銀河において、君は間違いなく最高位の王。しかし、銀河は無数に存在する。君と同じ『コスモブラッド(銀河の王)』も、無数に存在するということ」
「……豪快な話だな」
「無数に存在する銀河の最奥……それがここ」
「あ、そう……よくわからんけど。ここは天国ってこと? ガチで死んだらここにくる感じ?」
「君は死んでいないよ」
「? どういうことだ? 魔王の代わりに俺を殺すって話だっただろ」
「――『身代わり』になってもらうと言ったんだ。『殺す』とは言っていない」
「? 意味がわからないんだが?」
「普通は自分の命が一番大事だ。普通はね。それは悪い事でもおかしいことでもなんでもない。むしろ、そうじゃない人の方がおかしい」
「だから? 結論だけ言え」
「君は自分の命より、配下の命の方が大事だろう? だから、そっちをもらった。魔王の運命は『大事な命を失う』という運命。君はその身代わりになった。だから、君がもっとも大事にしている彼女たちの命をもらった」
ミカン、ユズ、レン、魔王、4人の魂を手の平の上に浮かべるアサ。
淡い光を放つ四つの魂は、まるで囚われた蛍のように静かに明滅していた。
「……猿の手みたいな願いの叶え方だな。……てか、魔王は俺の配下じゃない」
「けど、そこそこ大事な存在だろう? 命をかけて守るぐらい。君は弱い命と、救いを求める命を最優先で考える異常者だから」
「……仮に、そのロジックが成立したとして、魔王が死んでいる時点で完全に契約違反だが?」
「いくら時間的に切羽詰まっていたとしても、知らない人と簡単に契約してはいけない……いい勉強になったね」
「……」
「この命たちは大事に保管しておくから……もし取り戻したかったら、ここまで来てみなよ、センエース。この異銀河の果てまで……」
「異銀河の果て……ねぇ。そこにいくと確実に回収できんのか?」
「それは分からないけれど……でも、可能性があるとしたら、ここまで取りに来ることだけだろうね。だって、彼女たちの魂はここにあるから」
「……うっぜぇ……」
「彼女たちを助けたいなら、死ぬ気でここまできてみなよ」




