75話 ペン・ケースよ、永遠に。
75話 ペン・ケースよ、永遠に。
最終検証完了。
プレイヤー:サトーによる『単騎討伐(戦闘参加プレイヤー1名)』を確認。
魔王とペン・ケースは本来、例外なく複数パーティによる連携攻略を前提とした『災害』であり、プレイヤー単騎による撃破は想定外。
当該戦果は、既存の戦闘理論および攻略体系の外側に位置するものと認定されました。
その常軌を逸した栄誉を称え、全プレイヤーをアサルトアルファから解放し、
かつ、アサルトアルファが原因で亡くなった全てのプレイヤーを蘇生させます。
――Congratulations.
この奇跡的な瞬間を共有したすべての者へ。
その数奇な巡り合わせに――最大の賛辞と祝福を。
そのアナウンスを聞きながら、
アサが、
「田中トウシ……君が使ったエグゾギアは、サトーの所有物という扱いだからね。それに、君は、正式なルートでゲームにログインしていないから、部外者という扱いにさせてもらった」
「……どうでもええわ。……マジで、ほんまに……」
そう言いながら、トウシは、死んでいるペンを見下ろす。
世界中で、ファンファーレが鳴り響き、
プレイヤーたちが歓喜の雄叫びをあげている。
みな、サトーを一様に讃えている。
やはり、サトーは本物の英雄だ、と声高に。
そんな世界の片隅で、
トウシは、静かに、ペンの死体を見つめていた。
誰にも届かないその静寂だけが、トウシとペンだけの決着だった。
★
――深淵の底で、ペン・ケースの意識が浮上する。
目を開くと、銀河が降っていた。
いや、流れていたのかもしれない。
空にも足元にも無数の星々が重なり合い、世界そのものが裏返っているようだった。
どこまでも静かなその光景を前に、ペンは思わず眉をひそめる。
「……あ?」
起き上がって周囲を見渡す。
何が何だか分からない。
「この感覚……どういうことだ? 俺は殺されたはず……まさか、転生? いや、しかし、無限転生は『使えないカギ』に変換したはずだが……」
「やぁ、ペン・ケース」
ふいに、誰もいないはずの空間で、唐突に声だけが響いた。
「……いや、センエース。気分はどうかな?」
センが振り返ると、そこには当然のような顔でアサが立っていた。
「ここは?」
「君視点でいうところの『異銀河』の最奥だね」
「異銀河……」




