69話 あとのことは全部やってやるから。
69話 あとのことは全部やってやるから。
「……無理や……」
『本来であれば言うまでもない結論』を口にするトウシに、ペンは、
「大丈夫だ、トウシ。お前ならいける」
過剰な期待で圧をかけてくる。
トウシは額を押さえながら首を振った。
「……無理。いくらなんでも時間が足りん。数日で突破できる暗号カギやない」
「ギャグはもういい。さっさとセキュリティにジャーマン決めてやれ」
「……ボケてへん。無理や。サマーウォ〇ズのラストのアレの何倍も難しいと考えたら、ちょっとは、どんだけ無理か分かるか?」
「なんだ、それぐらいかよ。お前からすれば、ゴミみたいな難易度じゃねぇか。ミ〇ウツーでコラ〇タを倒すようなものといえば、どんだけ楽勝か分かるか?」
「……ワシをなんやと思てんねん。……解くだけやったら、そらいけるかもしれんけど、シンプルに時間が足りんねん」
「うるせぇ。やれ。時間が足りないなら、余計にうだうだ抜かすな。しゃんとしろ。俺がついている。俺がいたってどうにもならんが、責任は必ず取ってやる。どうすれば責任を取ったことになるか知らんけど、とにかく、あとのことは全部やってやるから、お前は目の前の壁だけを死ぬ気で破壊しろ!!」
ペンは一切引かない。
狂気的な目で、イカついパワハラをぶちかますだけ。
「……はぁ……」
トウシは深いため息を吐く。
そして、再び演算領域を拡張した。
どう考えても無理。
それでも考える。
鼻から血が溢れ、頭が沸騰するほど演算し尽くした、その果てに――ふと、先ほどのペンとの戦闘が脳裏をよぎった。
『お前は完璧だから最適解しか出せない』
『無意味をひねり出そうとしても、無意識のうちに、完璧な無意味をロジカルにパターン化してしまう』
「……あ」
その瞬間、思考が一気に加速する。
コスモゾーンは最適解の集合体。
無数の可能性を演算し、その時点で最も合理的な選択肢を導き出し続ける超巨大演算体。
それは、ある意味でトウシ自身とよく似ていた。
「アザトースサーバーも……コスモゾーンサーバー内で作成されたもの……なら……」
認証方式も暗号体系も違う。
当然、ランダム化も施されている。
だが、仮に、『根っこ』が同じなら……
「……結局のところ、コスモゾーンがこの世界全体を演算しとることに変わりはない……アザトースサーバーは所詮、コスモゾーンの子供みたいなもの……」




