67話 お前の靴を食べるから、どうにかしてくれ。
67話 お前の靴を食べるから、どうにかしてくれ。
「……ちょっと何言ってるかわかんない」
「銀河最強のお前でも殺せないってことは、誰にも無理ってことだ。……というわけで、あらためて、お前にお頼み申し上げる。……魔王を殺さずに、このゲームをクリアする方法を探してくれ。俺のことは普通に殺してくれていい。俺の命令(懇願)は最優先だが、俺を最優先に生かす必要はない」
「……」
「頼む。お前の靴を全部食べるから、頼む」
「靴を食べられたら、ただただ困るだけやろがい」
トウシは深々とため息を吐いた。
本気で呆れているのではなく、それは、時間稼ぎ。
しんどい決断をせまられて、つい呼吸で間を取ってしまった。
それだけの話。
散々悩んだ末に、
「しゃーないなぁ……もう……めんどいわぁ」
そう漏らした。
トウシは合理的な男。
抹殺によるクリアが出来ないのであれば、それ以外の方法を考えるだけ。
トウシはその場へ腰を下ろした。
胡坐をかき、腕を組み、一休さんのような姿勢で思考へ潜る。
周囲の崩れた柱や砕けた床は、もはや誰も気に留めていない。
――戦闘は一時停止。
脳だけを加速させる。
これまで集めた情報。
人類側の解析結果。
アサルトアルファの構造。
柏木氷菓の思想。
Cルートの目的。
壺の発言。
何か裏がないか。
何か穴がないか。
全てを再整理し始める。
演算領域が拡張される。
思考速度が跳ね上がる。
常人なら一生かけても終わらない試行錯誤が、一瞬ごとに繰り返されていく。
……そして、ペンもまた座り込んだ。
少しでも可能性があるなら協力する。
そのために、自分が持つ全情報を提供した。
携帯ドラゴンに関する知識。
コスモゾーンに関する知識。
第二アルファで得た経験。
五垓年の地獄で積み重ねた情報。
過去に遭遇した類似事例。
思いつく限りの全て。
断片的な知識であろうと、一つ残らず吐き出していく。
結果として、『携帯ドラゴンを使えばどうにかなるかもしれない』という結論に至った。
そこからは携帯ドラゴン作成のターン。
ペンも携帯ドラゴンを持っているが戦闘特化にチューンされているので、ハック用に新規作成した方がいいという結論に至った。
――問題は時間。
タイムリミットは五日。




