65話 ワシもアホになろう。
本日の3話目です。
65話 ワシもアホになろう。
「たいていの真理は既に掴んだ気になっとったけど……どえらい勘違いやったわ」
「勘違いしないでよねっ、あんたなんて別に最強じゃないんだからねっ」
終わっているツンデレネタで呼吸を狂わしていくペン。
綺麗に惑わされるトウシ。
奔流の中で、乱気流すら心地よくなっていく。
――トウシは、
「……ワシもアホになろう……そうでなければ届かない世界に……ワシも行く!!」
叫ぶと同時。
トウシは、自ら積み上げた最適解を捨てた。
勝率。
期待値。
リスク計算。
未来予測。
これまで絶対として扱ってきた全てを切り捨てる。
演算領域が弾け飛び、
エグゾギアの警告が視界を埋め尽くす。
だから――読めない。
「っ?!」
初めて、この戦いで初めて、ペンの目が見開かれた。
完璧であるがゆえに、完璧に狂った一撃を前にして初めて、その表情から余裕が消えた。
トウシは加速する。
防御も回避も後先も考えない。
ただ前へ。
もっと前へ!
結果、
その拳は――
「ずぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
ペンの胸を貫いた。
衝撃が爆ぜ、背後の空間が砕け散る。
心臓を撃ち抜かれたペンの身体が大きく仰け反った。
「……あ」
口から血がこぼれる。
膝が崩れ、ペン・ケースは地面へ倒れ込んだ。
玉座の間から音が消える。
崩れかけた柱の欠片が、遅れてぱらぱらと床に落ちる音だけが、やけに大きく響いた。
「はぁ……」
肩で息をするトウシ。
全身が悲鳴を上げている。
「はぁ、はぁ……ワシの勝ちや……」
返事はない。
倒れたままのペンは動かない。
心臓は砕けている。
どう計算しても致命傷。
どう解析しても生存不能。
トウシはついに、
ペン・ケースに勝利した。
★
ようやく勝ったと安堵するトウシ。
肩の力を抜きかけた、その一瞬。
しかし、
そんなトウシを嘲笑うように、
ペンが、スっと立ち上がり、
首をゴキゴキならしながら、
「さすがだぜ、トウシ。今のは、俺も死ぬかと思った。このペン・ケース様が死にかけたんだ」
「いや……あの……心臓を貫いたんやけど……」
トウシの声が、致命傷を与えたはずの相手を前にして、驚くほど間の抜けたものになる。
なろうでの「名字が田中になる」の連載記念して、本編の3話投稿をさせていただきました!
無理をしすぎて、3話投稿もだいぶきついw
無茶をしたぶん、ちょっとでも楽しんでもらえたなら幸いです!
下から飛べるようにしてあります。
もうすでに、大半の読者様に見ていただけていると思いますが……
できたら、なろうの読者様にも読んでいただきたいので……
もしよろしければ……応援のほど、よろしくお願いいたします<m(__)m>
いつも、いつも、助けていただけていること、本当にありがたく思っております!!




