62話 無駄無駄無駄無駄ぁ!
62話 無駄無駄無駄無駄ぁ!
トウシの掌から放たれた光がペンを包む。
それは破壊でも貫通でもない。
融合情報そのものへ干渉する特殊な波動。
エグゾギアを構成する接続が強制的に切断され、
黒い外殻が粒子となって崩れていく。
装甲を構成していたエネルギーは空中へ霧散し、
数秒前まで圧倒的な防御性能を誇っていたエグゾギアが、
まるで寿命を迎えた幻想のように消えていった。
フルドライブ・オメガバスティオンは、相手の融合・変身を一時的に解除できるというもの。
オメガバスティオン系統の技はどれも、効果がえげつない反面、使用するのがおそろしく難しい。
だが、トウシは……
「流石だぜ、トウシ。あっさりとオメガバスティオンの仕様を解析・再現してみせたか」
「これに関しては、ワシだけの力ちゃう。エグゾギアのサポート機能をフル稼働させた結果や! 流石のおどれも、エグゾギアのサポートなしでは、この数を防ぎきれんやろ!」
叫んだ直後、
トウシが事前にセットしていたディレイ異次元砲が一斉に起動。
空間の裏側へ隠していた数百、数千もの砲撃が、
設定されたタイミングに従って解放される。
死角など存在しない。
上も下も前も後ろもない。
あらゆる方向が砲口へと変わり、
破滅の奔流が一点へ収束する。
エグゾギアも着込んでいない、生身の状態で、それだけの照射を受ければ流石に死ぬ。
今度こそ勝った。
トウシはそう確信する。
だが、
「ドリームオーラ・オメガバスティオン」
静かな声とともに、
ペンの周囲へ淡い光が広がる。
光は薄い膜となり、
次の瞬間には巨大な球状障壁へ変貌した。
殺到する異次元砲が次々と激突する。
空間が軋み、世界が悲鳴を上げる。
しかし、
バリア型で展開されたオメガバスティオンによって、あっさりと防がれる。
全方位からの砲撃は一発残らず障壁に呑み込まれ、
まるで最初から存在しなかったかのように消滅した。
「……」
それを見て呆れるしかないトウシに、
ペンは、こともなげに、
「オメバスに関しては、地獄の5垓年の中で、散々練習してきたんでね。別に、システムのサポートなんかなくても問題ねぇ。ロックオンなしじゃホームランを打てない初心者パワプラーと一緒にしてもらっちゃ困るねぇ」
「……ぐっ」
理屈では勝っている。
計算量でも。
処理速度でも。
戦術構築能力でも。
全てにおいて自分が上。
だというのに、
結果だけがついてこない歯がゆさ。
「なんて言ってみたものの、正直、お前の天才ぶりには引いているぜ、トウシさんよぉ。……いつだって、お前は俺が想定した最悪のナナメ上でパラパラを踊っている。どうして、そんなにアゲアゲ☆エブリナイトなのか知らんが……そんなお前だから期待できる」




