61話 見誤った。
61話 見誤った。
狂気的な石橋の叩き方。
石橋に核爆弾を何発も落としておきながら、それでもまだ壊れないかもしれないと考える用心深さ。
その異常な警戒心が、ここで牙を剥く。
完全なる死角からの照射。
さすがのペンも対応しきれない。
異次元砲がペンの脇腹を真正面から貫いた。
回避も防御も間に合わない。
圧縮された破滅の奔流がエグゾギアごとペンを飲み込み、その身体を吹き飛ばす。
黒い外殻が砕け散り、玉座の間の壁へ叩きつけられたペンの姿が爆煙の向こうへ消えた。
「……悪いな。ワシの勝ち」
確実に仕留めた。
トウシはそう確信した。
しかし、
爆煙の中から現れたペンは、確かにボロボロではあったが、
――平然と立っていた。
「今の異次元砲はなかなかだったぞ。おかげで歯が……ちょっと頭にきちゃったかな」
「ど、どういうことや……なんで生きてんねん……どの計算式を用いても、おどれの死は確定やったはず……」
「眠いこと言うなよ、トウシちゃん。小学生の算数のドリルじゃねぇんだから、机上の引き算で『運命の証明』ができるわけねぇだろ」
「……」
「言っておくが、俺はお前を殺す気がない。徹底的に防御に徹する。ただひたすらに守りを固めた時の俺は、全盛期のグラ〇オンが中指立ててくるレベルの害悪だぜ。たった5日で殺し切れる……なんて、そんな甘い夢を見てもらっちゃ困る」
そこで、ペンは、充血した目で、射貫くようにトウシを睨み、
「……本気で守りに徹した時の俺は、5垓年かけても殺せねぇ」
ハッキリと、そう宣言した。
その目を見たことで、トウシはハッキリと気づく。
(……まずい……見誤った……)
彼は、ここで、初めて、
ペン・ケースという害悪の一端を理解する。
(……ペン・ケースの『強さ』の中で『もっとも強大』なんは出力やない……この異常な根性と生命力……あかん。ワシでは殺し切れん)
★
トウシは、このままだと殺しきれないと思い、
ペンと殴り合いつつも、
『オメガバスティオン』なる技の解析を同時並行で行った。
激しく拳を打ち込みながら演算を回す。
視界の端では、エグゾギアが取得した戦闘ログが滝のように流れていく。
オメガバスティオン発動時に発生するエネルギー変動。
位相遷移。
因果律への干渉痕。
防御成立の瞬間に発生する不可解な情報欠損。
一つ一つは理解不能。
しかし、理解不能だからといって解析不能とは限らない。
トウシは理解ではなく再現を目指した。
理屈の全容を把握する必要はない。
必要なのは現象の再現。
無数の演算を走らせ、
無数の失敗モデルを切り捨て、
戦闘を続けながら答えだけを引きずり出していく。
そして、その結果、トウシは、
「フルドライブ・オメガバスティオン!!」
あっさりと、オメガバスティオンという技を解析し、
同系統の派生技である『フルドライブ・オメガバスティオン』の発動を成功させた。




