59話 最後の砦。
59話 最後の砦。
トウシは、ただ闇雲に攻撃を繰り返しているわけではない。
ペンの回避先を読み、その先を読み、さらにその先を読む。
理論上の最適解を積み重ね、回避不能の未来を組み上げようとする。
エグゾギアに戦闘データを学習させる。
演算結果をもとに攻撃パターンを更新する。
さらに、その結果から新たなアルゴリズムを構築し、即座に戦闘へ反映する。
常人なら一生かけても辿り着けない試行錯誤を、コンマ数秒のうちに何万回も繰り返した。
結果、
(見えた……これで詰み)
ついにトウシは終局図へ到達する。
ペンの回避パターンを完全に包囲し、逃げ場のない未来を組み上げた。
あとは、その通りに指を動かすだけ。
「散弾呪縛ランク52万!!!」
トウシの手から無数の魔力弾が放たれる。
触れれば呪縛が発動する拘束魔法。
さすがのペンも無視できず、絶対集中の完全回避へ専念する。
トウシは散弾の軌道を精密に制御しながら、少しずつペンの退路を削り取っていく。
右へ避ければ次の散弾。
左へ避ければさらに次の散弾。
そして、
「そこぉ!! 異次元砲ぉおおおお!」
完全に追い込んだ。
理論上、回避不能。
仮にトウシ自身がくらったら、絶対に回避できないと断言できる必殺の一手。
確実に当たった。
そう思ったが、
「こりゃ避けられねぇな……じゃあ……オメガバスティオン!」
ペンがそう叫んだ瞬間。
異次元砲が、まるで最初から存在しなかったかのように掻き消えた。
「は、ぁあ?! なんや? なにした?!」
「そんな顔するほどのことでもねぇよ。ただのキャンセル技だ。イマジ〇ブレイカーの『練習が必要なバージョン』だと思ってくれればいい。俺の切り札の一つ。かなりしんどい技だからなるべく使いたくないんだが……いざとなれば、乱発する覚悟はできている」
「……」
トウシは即座に戦闘ログを解析する。
何が起きたのか。
どの工程で潰されたのか。
理解できないまま終わらせる気はなかった。
そして解析結果を見た瞬間、思考が一瞬だけ止まり……そして加速する。
(……ワシの魔力とオーラの波形に合わせて逆位相干渉を発生させた……いや、理屈としては不可能やない。波動体同士なら完全相殺は成立する。せやけど、それをやるにはワシが放った異次元砲の魔力構造、オーラ構造、位相情報、振幅、周波数、伝播遅延、空間歪曲率まで完全に一致させなあかん。しかも異次元砲は単純なビームちゃう。魔力場、オーラ場、位相圧縮場が複雑に重なった多層構造体や。それを相殺するには構成要素を一つ残らず解析した上で、全要素に対して逆位相の干渉波を生成せなあかん)




