48話 天才。
48話 天才。
(ああ……なるほど……そう使うんか……)
トウシは、防御しながら理解していく。
エグゾギアの使い方。
――どれだけ狂えば、どれだけ反応してくれるのか。
「こうか……なっ!」
ペンを手本に、エグゾギアを駆る。
最初は追いつくだけで精一杯だった神経処理が、数秒ごとに噛み合っていく。
出力制御、姿勢維持、慣性操作、感覚同期。
エグゾギア側の補正と、自分の感覚が急速に接続されていく。
理解していく。
身体へ馴染んでいく。
――理解というカテゴリで、常識の全部を置き去りにする鳴動。
これには、さすがのペンコピーもゲッソリ。
『ぉ、おいおい……てめぇ、なんだ、その強さ……現時点でもすでにやべぇ強さだが……えぐい速度で強くなっていってんじゃねぇか』
超高速機動の最中、ペンコピーが、引いたような声を漏らした。
トウシは、空間を滑るように後退しながら、少し感心したように呟く。
「ふむ……どうやらワシは、このエグゾギアを扱う才能があるっぽい……自分でも、どんどんコツを掴んでいくのを肌で感じる」
『ふ……ふざけやがって……』
最初の数分だけ、両者には差があった。
だが、すぐに互角になる。
互角だった時間は、ほんのわずか。
――すぐに、トウシはペンを超えてしまった。
『はぁあああ?! ちょ、おまっ……なんだ、その成長速度!!』
最初は防戦一方だったはずなのに、気づけば、押しているのはトウシ側だった。
閃光のように暴れ回っていたペンコピーの動きへ、完全についていっている。
最初は、ちょっとだけ勝っていた。
わずかに半歩、早く動いていた。
だが、しだいに、ペンのすべてを読み始める。
反応のすべてで、先回りしていく。
『お、おい……ちょ、まてよ……』
ペンコピーが、明確に引いた声を漏らした。
どこかの俳優のモノマネなのか、ガチの動揺なのか判別のつかない声音だった。
トウシは、尾部ユニットを器用にうねらせながら、感心したように呟く。
「なるほどなぁ……このエグゾギア、慣れるとだいぶ楽に戦えるな。大して魔力を込めんでも……複数の行動プログラムを組んで並列同期させれば……」
次の瞬間。
トウシの背後で、巨大な演算陣が展開する。
空間そのものが鋭利に歪んだ。
「ほいっと、異次元砲っ」
暴力的な奔流が、撃ち出される。
『っっなんじゃこりゃあああああああああああああああああああ!』
容赦ない直撃。
演算空間ごと、ペンコピーが消し飛ぶ。
防御も回避も関係ない。
存在ごと削り取るような、超出力の照射だった。




