47話 ペン・ケースは強すぎる。
47話 ペン・ケースは強すぎる。
「ちゃんと解析すると……このペンってやつ、ちょっと強すぎるな……これに、一般人が勝つん無理やろ……クソゲーってレベルやないな……」
さらに解析を進め、どんどんエグゾギアに学習させていく。
エグゾギアの精度が上がるたびに、トウシは思った。
「これは、いくらなんでも、ワシにしか出来ん不可能すぎるな……いや、てか、ワシでも不可能ちゃうか、これ……」
★
エグゾギアの学習は完了した。
ペンの戦闘力を、かなりの精度で模倣することに成功していた。
試しに動かしてみると、
「うぇ……」
動きが早すぎて、普通に酔ってしまった。
「制御装置を最大限に稼働させとかんと……乗っとるだけで死ぬ……」
どうにか調整を重ね、ある程度問題なく動けるようになったところで、
「よし……ほな、リハーサルしてみよか」
そこで、トウシは、ペンのコピーを生成した。
人格模倣、戦闘傾向、神経反応、思考ルーチン――ログから再構築された、模擬人格。
生成されたペンコピーが、周囲を見渡しながら、
『……こいつはとんだハプニングだな……おいガキども、これはいったいどういう状況だ?』
「ガキどもって……ワシしかおらへんがな」
『お前がそう思うんならそうなんだろう。お前の中ではな』
「これからワシと戦ってもらう。ぬるい闘いは意味がない……死ぬ気でかかってこい、ペン・ケース」
『さんをつけろよ、デコ助やろぉおおおお!』
「……あれぇ……ちゃんと問題なくコピーできたはずやけど……なんや、情緒がバグっとんなぁ……」
★
模擬戦、開始。
白い演算空間へ、二つの異形が降り立つ。
どちらも、アザト・エグゾギアを展開済み。
黒い外殻が脈動し、尾部ユニットが不気味に揺れる。
生物とも機械ともつかない駆動音。
存在圧だけで、周囲の演算空間が軋んでいる。
次の瞬間、
ペンコピーが、消えた。
「――っ?!」
トウシが認識した時には、もう殴られていた。
震える轟音。
空間ごと吹き飛ばされる。
トウシのアザト・エグゾギアが、白い演算領域を何キロも滑走した。
「ものごっつ、はやいやないかい……っ!」
直後に、視界の全方位で舞う閃光。
すくいあげるような高速の蹴り、螺旋を描く終わらない拳の嵐。
それらが、濁流のように繰り返される。
ペンの動きは、完全に異常だった。
速いとか、そういうレベルではない。
長大な尾部ユニットが空間を裂き、無数の感覚器官がトウシの挙動を先読みする。
一撃ごとに、白い演算空間へ巨大な亀裂が走った。




