27話 アザトライザー。
27話 アザトライザー。
ペンのバグ報告に対し、
――アサは、わずかに瞬きをしてから、答えた。
「田中・イス・トウシは、ゼノリカではない」
切り捨てるような即答。
揺らぎなし。
一切の余地もない。
その一言で、空気が硬くなる。
ゆえにこそ、ペンは爆発した。
ここまでの不満が一気に逆流。
「……ゼノリカだよぉおおお! 誰がなんと言おうと、あいつはゼノリカだぁあああ! 書面に残っていないから『正式には違う』という認定を喰らう可能性が微レ存だけれども、でも、俺がゼノリカだって認めてんだから、ゼノリカなんじゃあぁああああああい!! というか、もはや、むしろ、あいつこそが、ゼノリカの王ぉおおお!! だから、このリストは間違い! ミス! ゆえに、ノーカン! ノーカン! ノーカン! ノーカン!」
どうにか権利を獲得しようと必死。
しかし。
「田中・イス・トウシは、ゼノリカではない」
同じ言葉が、同じ調子で返ってきた。
感情がないゲーム的無限ループに突入。
(くっそぉ……あのボケ、必要な時にいっつもいねぇ。ことあるごとに禁止扱いされくさりやがって。『天使のほどこし』かよ。……だから、『要所で手を抜いて運営に有能さがバレないようにしろ』と、あれほど――)
内心で毒づきながら、画面を閉じる。
――ひと通りの説明を終えたあと、アサはわずかに間を置いた。
視線が、四人を順に撫でていく。
そして――
「最後に、これを贈呈しよう。この世界で『存在値100に到達した者』全員がもらえるエクストラ神器……その名も『アザトライザー』!」
その言葉が落ちた瞬間。
空間が、微かに軋んだ。
次の瞬間。
ペンの右手首に、冷たい感触が巻き付いていた。
そこにあったのは――腕輪。
金属光沢を帯びている。
だが、単なる金属ではない。
黒とも銀ともつかない色が、深度を持って脈打っている。
光を反射しているのではなく、内側で何かが『演算』しているかのように明滅していた。
細かな溝。
無数の刻印。
規則的でありながら、どこか破綻している幾何学模様。
「それは、この世界でのみ獲得できるシークレットレア神器。この世界の外でも使用することはできるけど、獲得できるのはこのアサルトアルファのみ。効果は単純。存在値の最終値に対して、乗算で補正がかかる」
アサの声は、相変わらず平坦だった。
だが、その内容は軽く受け流していいものではない。
「初期値は1%。アザトライザーを装備するだけで、『ステータスの最終値』に対して『1%』の上昇補正が入る。なお、この強化値は、アザトライザーを鍛えることで無限に上昇可能」
(……ぇ、最終値から乗算!? マジで? え? エグくない? それって、ようするに、『俺が今まで5垓年かけて鍛えてきた分』を、『まるまる底上げする』ってこと……)
積み上げてきたビルド。
変身による形態変化。
無数の装備補正。
『5垓年かけて磨いた全部』×『アザトライザー』という計算式。
(今まで積み上げてきた全部に掛け算……俺の場合、現状の最終値が『1垓5000京』ぐらいだから、『初期状態のアザトライザー(1パーセント)』を持つだけで……存在値が『150京』も上がる?)
計算式が唸る。
現実離れした数値が猛る。
仮にアザトライザーの値を『100%(2倍)』まで鍛えた場合、
――それだけで、ペンの存在値は『3垓』となる。
(えぐいてぇええええ!!)




