25話 チュートリアル。
3話投稿すると言ったな。
あれは嘘だ。
25話 チュートリアル。
「こちらを贈呈するよ」
言いながら、指を軽く鳴らすアサ。
乾いた音が一つ。
その直後。
ペンの手の中に、何かがあった。
スマートフォンサイズの端末。
質感は現代的。
だが、構造の気配が妙に薄い。
ペンは一瞬だけ警戒し、すぐに電源を入れる。
起動は早い。
余計な演出もない。
表示されたのは――アプリが一つだけの、シンプルな画面。
「そのアプリを使うと、ゼノリカのメンバーをこちらに召喚することが可能となるよ。召喚するにはポイントが必要で、ポイントは、この世界での様々な行動によって付与される」
説明は簡潔だった。
無駄が一切ない。
まるでゲームのチュートリアルのよう。
「強い人を呼べば呼ぶほど、次に召喚するために必要なポイントが高くなるから、考えて召喚した方がいいよ」
「へー」
軽く相槌を打ちながら、ペンはアプリを開く。
一覧が表示される。
ずらりと並ぶ名前。
ゼノリカの面々。
だが、その数値に、ペンの指が止まる。
「あの……アサさん、じぶん質問いいっすか?」
「どうぞ」
「これ……呼び出すために必要なポイントが、低いやつでも『80極』とかになっているんですけど……これはバグですかね?」
「現状、不具合は確認されていないね」
ペンの口元が、わずかに引きつる。
「……えっと、となると、俺達は、『これからの行動で80極ポイントぐらいは簡単に稼げる』ってことなんでしょうか?」
「1年必死に効率よく頑張って100万いくかいかないかぐらいだと思うよ。あくまでもおおよその数字だけれど」
「……」
計算するまでもない。
桁が、合っていない。
現実的ではない、という次元ですらない。
その横から、ミカンが身を乗り出す。
「ちょっと見せて……」
画面を覗き込み、指を滑らせる。
名前を追い、スクロールし――
ふと、動きが止まる。
「あれ? これリストに、神帝陛下の名前がないのだけれど……」
その一言で、空気がわずかに変わる。
神帝陛下センエース。
果てしない究極。
完全無欠の最強。
頂点の向こう側。
その存在さえ呼び出せるなら、他は不要と断言できる絶対戦力。
だが――その偉大な名前が表示されていない。
ミカンが顔を上げる。
「なんで……」
その問いに対して、
アサは、淡々と答えた。
「全ての質問に答えると思わない方がいい。私は君のお母さんではない」
ピシャリと切り捨てつつ、
アサはチラと、ペンに視線を向けた。
ペンは、タメ息をつきつつ、
(……『俺』はすでにここにいるからねぇ……)
今回のイベント、
ちょっとでも楽しんでもらえたのであれば、
本当に幸いです(*^-^*)




