20話 作戦会議。
本日の2話目です(*´▽`*)
20話 作戦会議。
(この存在値分布は、いくらなんでも不自然すぎる。……ここで生まれた個体は、存在値100以上になれないよう制限されているとみて間違いない)
紙面の数値と、今この場で感じている空気を重ねるペン。
(……何かしらの世界規模アリア・ギアスによる強制制御か……それとも、この世界の魂魄処理機構に異常があるか……)
ゴキゴキっと首の関節を鳴らしながら、続けて、
(……いずれにせよ、『正常な世界』ではない……ただの『ザコいだけの世界』なら別にいいんだが……)
「それで、どうするんすか?」
レンの声が響き渡る。
状況評価、目的確認、行動選択――それらを同時に要求する、無駄のない問い。
ミカンが、律儀に周囲警戒をつづけたまま、
「ゼノリカマニュアルによると……天帝の居城を制圧する……というのが最も推奨されているけれど……」
言いながら、再び感覚を走らせる。
だが、やはり引っかからない。
「この世界、存在値100以上が存在しないせいで、天帝がどこにいるのかわからない……」
問題は単純で、致命的。
本来、天帝クラスの存在は圧倒的なエネルギー反応を持つ。
探すまでもなく、『そこにある』とわかる。
だが、この世界にはそれがない。
強者はみんな横並び。
つまり目印がない。
「無駄にハードル高いっすねぇ……」
レンが肩をすくめる。
「一番偉いやつがどこにいるのかわからないって……世界征服する上では、だいぶ面倒なんすけど」
ユズが、わずかに息を吐く。
「存在値100のゴミを端から潰していけばいいんじゃない?」
感情のない提案。
ミカンは小さく苦笑して、
「それも一つの手だけど……時間効率が悪すぎるわね。試験である以上、『過程』も評価対象のはずだし」
そこで、沈黙が落ちる。
森の静けさと同質の、圧を伴う間。
さて、どうするか。
その思考の隙間を縫うようにして、
――『ソレ』は出現した。
気配の前触れはなかった。
音も、風も、揺れもない。
気付けば、ただ、そこに出現していた。
四人の視線が、同時に一点へ収束する。
木々の隙間。
薄く差し込む光の下。
――『ひとりの子供』が、立っていた。
年の頃は十前後。
中世風の簡素な衣服。
中性的な風貌。
後ろ手に腕を組み、わずかに首を傾けている。
そして――微笑みながら、
「ようこそ、アサルトアルファへ」
声は穏やかで落ち着いている。
そして、不自然なほどよく通る。
森の空気が、その一言だけを選んで運んだかのように。
その瞬間。
森の静寂が、一段深く沈んだ。
もともと『演出されたような静けさ』だったそれが、さらに密度を増す。
音はあるはずなのに、届かない。
世界そのものが、薄く隔てられたような感覚。




