7話 再連の中でも特に『優秀』と判断された期待の幹部候補たち。
7話 再連の中でも特に『優秀』と判断された期待の幹部候補たち。
「天帝……んー……」
「どうした?」
「……いや……なんか……この世界……際立って強いのがいないというか……なんか、存在値100ピッタリのヤツがいっぱいいるんですよね……なんだ、この世界……」
ゴーバイは専用の魔法端末を操作しながら、困惑を隠しきれない声で言った。
指先で術式を切り替えるたび、半透明の観測窓がいくつも展開される。
地域別の分布、職種ごとの傾向、個体ごとの最大値。
どこをどう見ても、結果は似たような異様さを示していた。
「いっぱいって、どのぐらいだ?」
「……正確な数字はまだ詰めきれていませんが……万単位でいますね……」
短い沈黙が落ちた。
ゼンバイは椅子から身を起こしもしないまま、視線だけで画面を追った。
数秒、情報を拾い、頭の中で整え、それでもなお、出てきた感想はひどく簡素だった。
「……『存在値100ぴったり』が万単位? ……また、ずいぶんと変な世界だな……」
異常だとは認識しているものの、
しかし、それ以上の感情を抱いている様子はない。
ゴーバイはそんな先輩の横顔をちらと見る。
ゼンバイは、未知に対して過剰な感情を払わない。
不気味なものを不気味なまま棚に上げておける。
そういう冷たさがある。
冷酷ではなく、ただの無関心。
情熱を介することなく、淡々と仕事をこなすタイプ。
「次に発見した世界で、『末席昇格試験』を行う予定でしたけど……予定通り、この変な世界で行います? 一応、試験会場の選択は、僕らに一任されているんですけど……」
ゴーバイが慎重に問いかける。
ゼノリカには『再連』と呼ばれる部隊が存在する。
異世界から誘拐してきた上位個体を、再教育し、ゼノリカの戦力として鍛え上げるための機関。
その再連の中でも、特に優秀と判断された、
『ペン・ケース』、
『レン』、
『ミカン』、
『クズノハ・ユズ』
――この4名が、このたび、ゼノリカ幹部組織『九華』の『末席』へ昇格するための試験を受けることになっていた。
予定されている『課題』は単純明快。
発見したばかりのアルファを、4名のみで完全支配すること。
もちろん、好き勝手に征服していいわけではない。
『ゼノリカ世界征服マニュアル』に従うことが絶対条件であり、その中には当然、『センエースを布教する内容』も含まれている。
武力制圧だけではなく、秩序の再編、思想の注入、信仰の上書きまでを含めて、初めて『完全支配』と見なされる。




