80話 終末の預言者。
80話 終末の預言者。
・医師と看護師が混乱するが、センエースは落ち着いて事情を説明する。
「心配しなくていい。クールに行こうぜ。俺たちはウィンウィンの関係になれると、ガイアがささやく」
乳幼児が流暢にしゃべり出したので、現場は当然、そのキモさに阿鼻叫喚。
ただ、未知に対する驚愕なんて、そう長くは続かない。
センエースがあまりにも普通かつ冷静にしゃべり続けるものだから、現場も次第に落ち着いていく。
「ここらで一つ、未来予知をしよう。今日起こる事。近々でおこること。……信じるか信じないかはあなた次第……みたいな、アヤフヤなもんじゃねぇ。確定的に明らかな、絶対の予言だ」
センは、『自分が産まれた日に、世界で何が起きていたのか』――そんなことを、昔、何の気まぐれだったか調べたことがある。
『こんな日のために』……などでは勿論なく、普通に『単なる好奇心』で。
自分と同じ誕生日の芸能人を調べるぐらいの感覚で。
――まだ日本で学生をやっていたころ。
ネットで、自分の誕生日を打ち込み、ニュースのアーカイブをいくつも漁った。
2003年7月5日。
彼が産声を上げたその日、世界ではいくつかの出来事が起きていた。
たとえば――SARSの世界的流行が、ついに抑え込まれたという発表。
長いあいだ世界を騒がせていた感染症が終息したと宣言された日。
それから、モスクワでは音楽フェスの会場で自爆テロが起きて、何人も死んだ。
……もちろん、他にもいくつかあるが、全部は覚えちゃいない。
『特に印象的だったもの』が、頭の片隅に残っていただけ。
言うまでもなくセンの記憶力は有限。
「今日、WHOが発表する。『SARSの流行は世界的に抑え込まれた』と。ニュースで流れるはずだ」
少し間を置いてから、肩をすくめるような気持ちで言葉を続けた。
「あと、モスクワで音楽フェスの爆破テロが起きる。これも今日か、遅くても明日のニュースになる。すぐに対処した方がいいが……信じさせるのは骨が折れるだろうな……その辺はそっちで何とかしてくれ。自力で歩く事さえできないご覧の有様ゆえ、今の俺に、物理的な行動を起こせる力はないんだ」
・医療スタッフが半信半疑で内容を記録し、院内で共有する。まだ、この段階では、『異常に知能が発達した新生児』としか見られていない。
・院内倫理委員会が緊急招集され、『異常知能新生児』の扱いについて協議が行われる。
・センエースは、自身の母親である『閃ステラ』に対しても事情を説明した。
「というわけだ、母よ。急にこんなことを言われても混乱するだけだとは思うが、冷静かつ全力で協力をしてくれ。将来的には勿論『孤高』を決めさせてもらって全ての面倒事を単騎で処理させてもらう予定だが、バブらせてもらっている今の段階だと、他者に頼らざるをえない。ああ、この場合の他者ってのは『俺以外の人間』って意味だから、『母親を他人扱いするな』とか面倒なことは言わないでくれよ、マイマザー」
「……なんだ、このウザいガキ……」
「そりゃないぜ、ステラはん」
・息子の、真摯な『将来的に、世界規模の危機と異世界関連事件が多数発生する。対応したいから、もろもろ協力してくれ』という要請に、閃ステラは、キモがりつつも真剣に耳を傾ける。
「結婚する予定も、出産する予定もなかったのに……その上、こんな珍妙なことになって……私の人生、どうなってんだ……」
・『小説より奇なり』な己の奇想天外人生を嘆きつつも、最終的にステラは、エースの状況を正しく理解し、エースの行動を全面的に支援することを決める。
「いいだろう。全部受け入れて飲み込んでやる。それが私の運命だというのなら」
「さすが俺を産んだ奇行種。覚悟の決まり方と面構えが違う。そこに痺れる憧れる」
ここから先、物語はさらに加速していきます(*´▽`*)
ぜひ最後まで楽しんでいただければ幸いです!
この作品が、皆さまの『明日を生きる理由の一つ』となれたならいいなぁ、
などと夢見つつ、これからも全力で書き続けていきます。
よろしければ、引き続き、よろしくお願いいたします<m(__)m>




