79話 おぎゃあ!
79話 おぎゃあ!
――本質時間『2垓年』前、第1アルファ、日本。病院。
「おぎゃあ、おぎゃあ――ん……んん」
タイムリープに成功したセンは、病院の天井を見つめながら、
(よし……間違いなくタイムリープできた)
身じろぎしてみるが、うまいこと手足を動かせない。
最強の神だった頃とはえらい違い。
ただ、2垓年の中で、『赤子に転生したこと』は何度もあるので、戸惑いはゼロに近い。
この程度の状況は、センにとって、昼下がりのコーヒーブレイクとなんら変わらない平穏なもの。
(……本番は転生してからだが……それまでの間も、『出来ること』は全部やっておいてやろうか。とりあえず、ミカンが壊されないよう、裏で動いてやろうかね。それと並行して、ユズのことも多少は面倒見てやるか)
センは、ここで、改めて、
『ユズをどうするか』を真剣に考えた。
人間は誰だって、産まれた環境で、その後の人生が大きく変わる。
『センエース』や『蝉原勇吾』や『田中・イス・東志』のように、『産まれた環境に一切依存しない魂が屈強な変態』も、ごくまれに存在するが、そんなものはウルトラレア中のプリズマティックシークレットレア。
(環境を少しは変えてやって、それでも腐るようならもう知らん。……そして、トラック転生してからは、ゼノリカの面々を影から守りつつ、誤解を与えないよう、注意して立ち回る。――助けたいやつ全員を救う。その上で、謎の過大評価もさせねぇ。あいつらの過剰称賛は、ユズの声とか関係なく、シンプルにダルかったからな。……やってやる……今度こそ、全部、うまくやってやる! 覚悟はいいか? 俺はできてる!!)
こうして、センエースの長い戦いが幕を開けた……
『全ての記憶がある状態』というアドバンテージを、
赤子のころから最大限に生かしまくる、記憶だけ強くてニューゲーム。
★
~0歳。
・センは、出産直後……分娩室で泣き声をあげた直後に泣き止み、周囲の医師や看護師を観察するように視線を動かす。
・医師や看護師の会話内容に反応するような視線の動きや表情を見せ、『反応が異常に早い新生児』として医療記録に残される。(この間、センは、『今後具体的にどうしていくか』のプランを必死に考えていた)
・新生児検査の際、聴覚反応、視覚追跡、刺激反応が異常な精度で起き、医療スタッフが違和感を覚える。
・通常の新生児ではあり得ないレベルの視線追跡能力が確認され、追加の神経検査が検討される。
・セン、診察中、医師に対してはっきりした言葉で話しかける。
「悪いが、赤子扱いはやめてくれ。知人の女神から、散々乳飲み子扱いされて辟易しているんだ。見た目は乳幼児、頭脳は大人、その名は名探偵センエース、みたいな感じのノリでやらせてもらっているから、そこんとこヨロシク。余談だけど、名探偵コ〇ンの前口上を聞くたびに思うんだが、高校生は大人じゃねぇよなぁ。17歳前後って、かなりのガキだぜ。まあ、永遠に中学二年生やっている俺よりは大人かもしれんが」




