27話 聖典の解釈は人それぞれ。
27話 聖典の解釈は人それぞれ。
「それとも、自分の努力をひけらかす嫌味野郎っすか?」
レンは、ぐでぇんっと、だらしなく机につっぷしたまま、
レモンでも噛んだみたいなすっぱい顔をして、
「ボク、聖典がマジで嫌いなんすよ。だって、死ぬほど説教くさいでしょ、あれ。なんか『努力が足りないやつは生きる価値なし』って言われている気がして、イラつくんすよねぇ。『うっせぇわ! てめぇが死ね!』って思うんすよ」
「……それは……逆かもしれない。あくまでも推測だけれど」
レンの実直な感想を受けて、ミカンは思う。
『レンと同じような解釈をされてしまう危険性があること』……それこそが、『ウセネス』……『センエース』が危惧したことじゃないか、と。
『聖典の間違っているところ』ではないかと。
――お前たちは頑張っている。尊いのはお前たちだ。だから、俺はお前たちを守りたい――
陛下が本当に言いたいのは、そういう事なんじゃないか。
……と、ミカンは推測する。
「真意は分からないけれど、陛下は、苦しんでいる様子だったよ……過剰に信仰されることを。心から重荷に感じているようで……だから、私には……陛下がまともに見えた。あくまでも私の感想だが」
「えー、でも、まともだったら、あのキモい信仰をやめさせるでしょ。ゼノリカの幹部連中なんて『陛下の言う事なら白でも黒』っていう『考えるのをやめてる連中』なんすから。信仰を放置しているってことは、結局、持ち上げられるのを喜んでんじゃないすか? 『褒められすぎて困っちゃうぅ』とか言いながら、内心ではほくそ笑んでいるタイプ……うわぁ、一番キモいタイプぅ。無理ぃ」
「……」
「あれっすかねぇ。やっぱ、ボクも、いずれは、神帝陛下の夜伽に付き合わされるんすかねぇ? やだなぁ……ボク、まだ処女なんすけど。いい男を見つけた時のために、大事にとっておいたのに……異常カルト教祖の慰み者になって花を散らすとか……ボク、マジで超不幸」
「……そんなことにはならないと思うぞ。陛下は童貞らしいから」
「え、マジっすか? え、陛下ってもう1万歳以上なんすよね? それで童貞って……そっちの方がキモいかも。もしかして、イ〇ポなんすかね、キッショ。ぜんぶ終わってる。おえっ」
「……声が大きい」
と軽く叱責してから、ミカンは、聖典や教材を片付けて、
「私はこの後、見回りの任務がある。レン、貴様は、戦闘訓練に戻れ」
「はい、はーい……あーあ、訓練だるぅ。理想の王子様、はやく、ボクを助けにきて! ……なんてね。はっ。もう、理想的じゃなくてもいいし、ボクを助けてくれなくてもいいから、とりあえず、この気持ち悪い世界をぶっ壊してくれないかな……はぁ」




