突っ張り3.親方は100g
私は無事に自室を出る事に成功した。今は、弟子達の目に付きそうな場所を探している。
(潰されないかつ見つけやすい場所って、どこだ?)
そんな事を思いつつさまよい歩くうちに、空腹を感じた。
無意識か台所に来ていた。何か食べられそうなものはあるだろうか。ふと、段ボール箱の中にブドウを見つけたので、一粒ちぎってみた。
(おいしいな。食べたら眠くなってきたな…)
疲労がたまり、段ボール箱の中でつい眠ってしまった私は、弟子達が帰ってきた事に気付かなかった。
「親方、どこにいるんすかね?」
「今頃迷子で泣いてるかもしれない」
「子供かよ。後で怒られんぞ」
「…腹減りましたね」
「何か食べるか」
腹を空かせた力士達は、一直線で台所に駆け込む。ドスドス響く音に私は目を覚ました。
(はっ!地震か?…いや、弟子達が戻ってきた)
「お菓子でもいいから早く食べたい」
「いや、肉食わないと痩せちゃう。歩き回ったし」
「支援者からもらう箱ってどこにあるんすか?」
「こっちにあるから覚えた方がいいぞ」
「分かりました」
「この箱、甘い匂いがする」
私は近づいてくる大柄の男達からは逃げられないと悟って思わず目をつぶった。
「あっ、ブドウありますね!」
「箱ごと取ってくれ」
「はい!」
ガサッ。
「うわー!!」(甲高い声)
「え?」
「叫び声が聞こえた」
「は?ブドウの中に何がいるの」
「…ん?親方によく似た人形(?)がいる」
「親方!どうしてここにいるんですか?探しましたよ」
「待て、摘むんじゃない!潰れるだろうが!!」(甲高い声)
「ぷぷっ、失礼しました。手に乗せますね…軽っ!」
「どのくらいの重さか気になるんですけどw」
「ちょうど電子ばかりあるよ!」
「おい、まさか私を量るつもりか?」(甲高い声)
「ええ、小数点まで正確に量ってあげますよww」
「やめ…あっ」(甲高い声)
抵抗虚しく、弟子の手に収まる私は電子ばかりの上だ。
私は料理する際に調味料などを正確に量らないとおいしく作れない。女将はいつも目分量だったが、料理が得意な為そんなものはいらなかった。
私は、調理器具で体重を知る日が来るとは思わなかった。電子音と共に重さが表示される。
「出ました。100gジャスト!」
「ぶふっ。超絶軽いっすねww」
「分かっただろ。今の私では何もできない」(甲高い声)
「その声何とかならないですか?親方がしゃべる度、笑いがこらえられなくてwww」
「私だってどうにかしたいに決まっている!」(甲高い声)
元の姿に戻るまで私は甲高い声でしゃべる他ない為、以後表示を外してお送りします。
突っ張り4へ続く…
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