突っ張り2.親方、どこですか?
「おい、お前ら助けてくれ!」(甲高い声)
私は、小さくなっただけでなく声まで変わってしまったようだ。弟子達の反応がないのでもう1度叫んでみる。
「大変なんだ。助けてくれ!!」(甲高い声)
やはり反応がない。仕方がないので、ひとまず弟子の部屋まで行く事にした。
この体では自室を出るのも一苦労だ。ちょこちょこしか歩けず、中々に進まない。その頃、弟子達は…。
「何か変な声が聞こえなかった?」
「気のせいじゃないか?」
「僕は聞こえたよ。あれでしょ。年取ると蚊の羽音が聞こえなくなるやつじゃない?」
「全く聞こえないのはおじさんだからなのか…」
「ハエタタキで仕留めますんで、見つけたら言ってください!」
弟子達の不穏な声が聞こえてくる。部屋を出たら虫と勘違いされて殺されかねないので、中止せざるを得なかった。
「そういえば、親方来ないですね」
「昨日、伝言で『今日から指導に戻る』と聞いたんだろ?」
「はい、そのはずですが、体調がまだ悪いのでは」
「様子を見に行こうよ。風邪を引くより親方が心配だもの」
やばい、弟子達が来てしまう。隙間に隠れなければ踏まれる!私はどうにか彼らの手が入らない所に身を潜めて動向を伺った。刹那、ドアを豪快に開け放つ音が響く。
「親方、お加減悪いんですか?俺らより自分の体を大切にしてくださいね!」
「僕達の方が毎日鍛えているので風邪なんか引きませんから!」
「虫がいるならハエタタキで仕留めさせていただきます」
「…親方がいない。まさか、失踪?」
「手分けして外も探すぞ!」
やっと嵐が去った…。弟子達を怖いと思ったのはこれが初めてだ。彼らが戻ってくる前に安全で目に付く場所に移動しよう。私は、再び自室を出る為に動き出した…。
突っ張り3へ続く…
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