突っ張り11.親方流☆弟子の起こし方
「親方、起きてください。部屋に着きましたよ」
「ん、帰ってきたのか。ご苦労…と言いたい所だが、ほっぺをツンツンして起こすのはやめなさい。子供か!」
「もちもちっすね。癖になりますww」
「全く。横になりたいから肩から下ろしてくれ」
「了解っす」
私を下ろした後、秋茜は秒で寝てしまった。緊張の糸が解けたのだろう。他の弟子達も既に寝ていた。
力士において、昼寝とは体を大きくするのに必要だ。彼らの寝顔を見ると時折微笑んでいる気がするので、おいしい食べ物の夢でも見ているのかと笑ってしまった。
私は昨日と同様にお風呂に入る為、準備を済ませてから部屋の隅に移動して、座布団の上で昼寝をした。
ふと目を覚ますと、弟子達はまだ寝ていた。いびきの大合唱で、私の甲高い声ではかき消されてしまう。
そこで彼らを起こす為にある作戦に出た。
「…ん?なんかくすぐったい。お、親方ですか?」
「おはよう。風呂に入りたいから手伝ってくれ」
「了解っす」
弟子の上によじ登って起こす作戦は成功のようだ。他の弟子達にも効くか試したかったので、先に起きた春桜には風呂の準備をしてもらう事にした。次は夏葵の体によじ登ってみる。
「…む、虫?気持ち悪い!」
バシッ。
そう言って目を覚ました彼の手が飛んでくる。私はすんでの所で避け、事なきを得た。
「危なかった…」
「え、親方が登ってたんですか?感覚過敏で苦手だから、やめてください。危うく潰しそうでした」
「どうやらそのようだな。作戦は中止だ」
夏葵の張り手の音で目を覚ました2人は、寝ぼけまなこできょとんとしていた。
「すごい音がしましたが、何事ですか?」
「耳元に蚊が来たんですよね。ハエタタキと…」
「私だ!虫はいない」
「?」
彼らに起こす為の作戦だった事を伝えて解決したが、安全に起こす方法は未解決のままだ。とりあえず一時休戦して風呂に入った。
「親方、作戦は成功しましたか?」
「夏葵が感覚過敏で、虫と勘違いされて張り手が飛んできた。その音で2人とも起きたのはよかったが」
「残念でしたね。普通に起こしてくれれば俺は起きますよ。眠りが浅いので」
「お前、よくそれで横綱になれたな。私は眠らないと力が出ないし、どこでもよく眠れる」
「最近、ショートスリーパー多いですよね。秋茜もそうですよ」
「そうか。これからは春桜か秋茜を起こせばいいんだな。冬吹雪は私に似て、中々起きない」
「確かに。あいつは起きるのが1番遅くて苦労しますw」
「申し訳ない」
そんなこんなで風呂を済ませた私は、弟子達の部屋に戻った。自由時間でSNSを見ていた彼らが、私の件でバズってるから一緒に確認して欲しいと言ってきたのだ。画面を見た私は驚きを隠せなかった…。
突っ張り12へ続く…
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