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事件が解決したら憑依探偵令嬢と呼ばれてしまうのでしょうか  作者: モチダ


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「⋯⋯現場?」


心なしか先生の目つきが変わったように思います。

アイザック様が気付かないはずはありません、あえて挑戦的な視線で返しながら、


「先生はご存知ですよね?…学園内で、ドロシー嬢が⋯」


「⋯⋯⋯」


「発見された、⋯って」


先生は一度深い溜息をつくと、眉間のシワを揉みました。


「何をしようとしてるか聞くだけ野暮だな。⋯一応の確認だが、止めたら聞いてもらえるか?」


「それこそ野暮ですね、物わかりの良い先生で助かります」


アイザック様は薄く微笑み、お茶を飲みながら答えます。

因みに未だ手は握られたまま。

私もお茶を飲みたいので、そろそろお手を離して頂きたいです。


「アイザック、お前⋯⋯シャーロットの望みを叶えてやるばかりが愛情じゃないぞ。時には止めてやることも大切だ」


「ふふ、僕達の愛の形に口出しするなら、先生の話も聞かせてもらえますよね?」

「⋯⋯なに?」


「先生は「あの日」ドロシー嬢と会いましたか?」


先生は目線だけをアイザック様に向けると、今度はわざとらしく溜息をつきます。

「⋯⋯はあ、色々突っ込みたい所だが。まあ、いい。答えは「ノー」だ」


「そうですか、よく分かりました」


アイザック様の声が冷たく響きます。


「⋯なあ、今日はもう帰れ。シャーロットも本調子じゃないんだろ?どんどん顔色が悪くなってる」


アイザック様が空いてる方の手で私(身体はロティ)の頬を包みます。

何だか久しぶりのイチャイチャだなぁ、などと思う位には私も毒されてきたようです。


「お前が気付いてないはずないだろう?いつもと様子が違う。帰ってゆっくりさせてやるんだな」


先生が目を細めています。

またドロシーっぽさが隠しきれていなかったのでしょうか。


「あと、これだけは言わせてくれ。危ないと思ったらすぐに身を引くこと。いいな?」


「⋯⋯それは忠告ですか?」


「学園の先生から、そして年配者からのお節介だと思ってくれ」


そう言うと、先生は席を立ってしまいました。




ふむ、と少し思案したあと、アイザック様がいたずらっ子の様な笑顔を見せます。


「それじゃあ、明日はあとの2人に会いに行こうか」


あとの2人って、⋯ウォルター様とエリオット様のことでしょうか?


「ロティは、明日も僕とデート、したくない?」


ふふ、と綺麗に笑うアイザック様。

ご自分のお顔の良さを、ちゃんと分かってらっしゃる顔です。


「本当は今日、他の店も見て回りたかったんだ。だけど今日は僕も久しぶりに街に来たから。ふふ、少し疲れちゃったよ」


アイザック様にしては随分と下手な言い訳です。


ロティはしばらく屋敷から出ようとしなかったらしいので、アイザック様には、それはそれは多大なるご心配をお掛けしたことでしょう。

そして久しぶりに外出をしたロティの姿を見て、安堵し喜んでくださっていたのですね。


中身が私ドロシーなので、騙しているようで心が痛みますが。

犯人を見つけた暁にはロティと存分に、いつでもどこでも何度でも、沢山デートなさってもらいたいです。

私が許可します!わかりましたね、ロティ!!


「ロティも、疲れちゃった?今日はもう帰ろうか」


ああ、アイザック様。また始まりました。

本当アイザック様は、ロティの手を触るのがお好きですね。

これはマッサージです。マッサージ。

マッサージなので頬を寄せないで下さいませ。


⋯あら、ロティの身体の記憶でしょうか。

なんだかドキドキしてフワフワしています。

ロティならきっと破顔で喜ぶのでしょうね。


中身が私ドロシーではデート相手として申し訳がないですが…。

そして正直なところ、ウォルター様はともかくエリオット様に会うのは少し気が重いですが⋯⋯。

しかしそんな事言ってられません。犯人探しの為ですものね。了解です。


「明日もイジーに会えるなんて嬉しい」


おっと、今のはかなりロティっぽく返事できたのではないでしょうか。


「ふふ、本当にきみは可愛いねロティ。人前じゃなかったら抱きしめたいくらい」


ここが公衆の面前で本当に良かったです。




宣言通り、あのあとすぐに家に帰らされた私(身体はロティ)は、自分で思う以上に疲れていたようで、すぐさまベッドに寝かされてしまいました。

ドキドキフワフワしたのは体調不良だったようです。


「⋯⋯しばらくアイザック様と、人前以外でお会いするのは避けたほうが良さそうね」


ロティ大好きアイザック様には気の毒ですが、あとで知って気まずい思いをするより絶対いいと思うのです。

ロティに身体を返したら沢山沢山デートしてもらう為にも、しっかり体力を戻しておかないとね。


お姉ちゃんに任せなさい、ロティ。

身体を借りてるのだから、それくらいのお返しはしないといけませんよね。


ああ、段々と眠たくなってきました。睡眠も大事ですからね。

頭がぼんやりします、今日の出来事が浮かんでは消えていきます。


もう二度と目にすることは叶わないと思っていた、ダークブラウンの髪とアンバーの瞳⋯⋯

先生のお顔を寝る直前に思い出すなんて、何という贅沢でしょう。

笑顔も見られました。呆れたような笑顔も良かったです。


先生も今日は早くお眠りになられると良いですね。お忙しそうだったから難しいかも知れませんが。

先生。先生こそちゃんと食べてくださいね。教師も身体が資本ですから。

先生、先生にもう一度会えるなんて⋯⋯


先生⋯⋯⋯⋯⋯


先生⋯⋯





先生、どうして嘘をついたのですか━━━━



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