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先生にもう一度会えるのなら、勿論会いたい。
「そんな嬉しそうな顔をされると妬けてしまうよ、ロティ。思わず意地悪をしてしまいそうだ」
「意地悪⋯とは?」
「今すぐここできみに口づけを⋯」
「ダメです、それだけはお許しください」
わあ、ダメ元で言ったら本当にやめてくれました。
イチャイチャスキンシップの激しいアイザック様ですが、意外と節度は守られるお方なのですね。
それともロティのお願いだから、聞いてくれたのでしょうか。
何はともあれ、ひとまず安心です。
だって、冗談で言ったにしてはまったく目が笑っていないのです。アイザック様。
「だったら他の男に会いに行くのをそんなに喜ばないで、ロティ」
了解です、喜びません。
私はロティ(の身体)!!アイザック様の婚約者ですからね!!!
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
そんな決意も虚しく、オスカー先生とお会いしてからのアイザック様の笑顔が怖いです。
正直、飛び跳ねたいくらい喜びました。ごめんなさい。
先生には昨日あのあと、アイザック様がすぐに伝達を出して下さいました。
急な呼び出しにも関わらず快諾して下さり、今日学園近くのカフェで落ち合うことになったのです。
ぶっきらぼうだと評されることの多いオスカー先生ですが、生徒思いのお優しいお方なのです。
「シャーロットも一緒だとは思わなかったが、⋯ああ、少しは元気が出たようで安心したよ」
ふわぁあああ、先生です。
先生が私の斜め前に座っておられます。
因みに先生の向かい、つまり私の隣はアイザック様です。
当然の様に捕獲⋯もとい、手は握られております。
「シャーロット、ちゃんと食べれてるか?夜は?眠れてるのか?」
先生の方こそ、少しお痩せになられたのではないでしょうか。
やはりお忙しい中を無理して来て下さったに違いありません。
それでもお顔が見られて嬉しいのです。来て下さってありがとうございます。
「学園にはどうだ?まだ通えそうにないか⋯?」
学園と言えば、こっそり学年の違う先生の姿を、よく探しに行ったものです。
私の中では、久しぶりとかそう言う感覚ではないのですが。
つい最近お会いした様にも感じるし、長い間お会いしていない様にも感じられます。
とにかく、お顔を拝見出来ただけで幸せなのです。
「!!⋯⋯⋯⋯ははっ」
笑った!?先生が、笑いました。
なぜ?なぜ笑ったのでしょう??
なぜか分からないけど、笑顔もとても素敵です。先生。
いけないと思いつつ、ついつい顔が緩みます。
アイザック様。握る手に少し力が加わりましたね。
了解です。顔を引き締めます。
淑女ですもの。お手の物ですよ。
「ははは!シャーロットとドロシーはあまり似てないと思ってたが、ちょっとした表情なんかはソックリなんだな。さすがは「仲良し姉妹」だ」
「!!」
ピンクブロンドの髪を持つロティは、可愛らしい顔立ちと小柄な体型で、愛らしく可憐な印象を与えます。
一方私ドロシーは、燃えるような紅い髪とキリッとした印象の顔立ち、女性にしては少し高めの身長で可憐とは縁遠い印象を与える⋯、いえ、与えていました。
姿形こそ似ていませんが、私達は仲良し姉妹で評判でした。
私は素直で純粋なロティが、本当に可愛くて大好きでしたし、嬉しいことにロティも私のことを慕ってくれていました。
お互いのことで、知らないことなどないと言い切れる程、ずっとずっと一緒にいました。
お互いに恋の悩みも報告も、学園生活や友人関係、貴族や淑女としての振る舞いについての相談も、他愛のない日常の出来事も、愚痴を言い合ったり、慰め合ったり、毎日毎晩、時間が足りない程、沢山沢山おしゃべりをしていました。
ですから、私がロティの身体でロティのフリをするのは、実はそこまで難しくはないのです。
だってお互い何でも知ってる仲ですからね。
それでも、隠しきれない表情と言うものがあったのでしょうか⋯。
それに気付いてもらえた喜びと、大好きなロティを演じきれなかった悔しさとで、何とも複雑な気持ちです。
「先生、そんなにロティを見ないでください。減ります」
「相変わらずだな、お前達は」
先生、呆れたような笑顔も素敵です。
「まあ、シャーロットは成績も良いし、無理する必要もないからゆっくり気持ちが落ち着いたら⋯」
「この前、「現場」には行ってきました」
「⋯⋯⋯⋯⋯、現場?」
心なしか先生の目つきが変わったように思います。




