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異世界で必要なのは、魔力、知力、武力、それと……  作者: 大山小水
第二章 修行だっ

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40.魔法研究⑥〜類例〜

あらすじ(前話)

なに?この世界で結界の詠唱が知られていない理由が知りたい?

そんなの簡単だ。誰かが独占しているか、作成に難易度が高いかのどちらかだよ。


……だからゼロから作らにゃいかんのだ!

一ヶ月間、障壁をどう造るかという問題を考えた。


でも、なかなか思い通りの障壁を作成できない。


じゃあ、現状の課題を整理しよう。


俺ができるのは簡潔にいうと【風、水、土を使った事象を起こす】ことで【発生させる形状をある程度自由にできる】のだ。


もちろん、ある程度と言っても、丸くしたり、尖らせたり、表面の形状をいじったり、回転させる程度だ。


では読者諸君はこう思うだろう。


『壁なんて初級の土魔法の土杭を壁のようにすればいい』って。


やりましたよ。


ええ、すでに試してます。


結果は、そんなんで障壁にはならなかったってことですね。


詠唱で生成した壁に向かって、先日開発した回転弾魔法を打ち込んでやりましたよ。


そしたら、一撃で粉砕です。


一撃で。



そして師匠に協力してもらって、壁を殴ってもらったんですよ。


そしたら、なんか触れる前に砕けてましたよ。


触れる前に。


もう、案がないですよ。


色々思いつきで案を捻り出してきましたけど、ここが限界です。


というわけで、少し広い視点で見直していこうと思います。


えーっと、まず今回作りたい障壁は魔法かつ物理的衝撃を防げればいいという代物だよな。


しょうがないから、それぞれの課題について個別に対応していこう。


物理的衝撃は今のところ手詰まりだから、魔法的衝撃を和らげる方法を考えてみるか。


魔法的な衝撃を和らげる方法…………。


師匠みたいに交わしたりした方が早くない?


いや、それは今回の趣旨に反する。


うーん。


魔法を防ぐ。


魔法を弾く。


魔法を和らげる。


うーん。


魔法を逸らす。


うーん。


魔法…………。


はっ。


かなり前に師匠と手合わせした時師匠はなんて言ってたっけ?


ーーーー

「大丈夫だっ。私も相殺する上、この服は対魔法用の強い服だっ」

ーーーー


あるじゃん、ヒント。


というわけで師匠に服について聞きに行った。


◇◇◇◇


「師匠!質問していいですか?」


「構わなぞっ」


「こないだ師匠に魔法を打ち込む訓練をした時に、師匠が『対魔法用の強い服』と言っていたと思うんですが、どういう仕組みで対魔法用なんですか?」


「それは簡単だぞっ。魔法をあたる瞬間に分散させているだけだからなっ。カホが作ったからカホに聞くといいぞっ」


分散か。


とりあえず、カホさんのところに行くか。


◇◇◇◇


カホさんとはあまり話したことがないし、普段キッチンの方にいることが多い気がする。


というわけでキッチンを訪ねてみる。


「すみません。カホさんはいますか?」


何の音もない。


というより、人の気配が感じない。


一応、もう一度声をかけておく。


「カホさんはいますか?」

「ええ、ここに」

「うわっ!」


後ろにいた。


しかも顔色ひとつ変えずに。


「それで、どうしましたか?」


「いや、少し服のことでお聞きしたいことがあって」


「そうですか、少し片付けしてからでいいですか」


「はい、もちろん」


俺がそう言うとすぐにどこかに行ってしまった。



……この屋敷って、なんかレイブン先輩といい、カホさんといい、師匠以外もすごい人多くない?


◇◇◇◇


しばらく待つと、すぐにカホさんが現れた。


そして、師匠の紹介と知りたいことを説明した。


「そうですか。レイ様は魔法の威力を和らげる仕組みを知りたいんですね。それでは、説明致しましょう」


すると、カホさんは紙にどんどん書き出していった。


どこから紙を出したんだ?


とりあえず集中して聞く。


「まず、普通の服では魔法を受けたら粉々になってしまいます。そこで魔法の性質自体に着目します。魔法により現れた事象は多かれ少なかれ、魔力を纏っています。そして、その魔力には一定の規則で魔素が綺麗に並んでいるという仮説があり、その仮説から、綺麗に並んでいる魔素を乱してやれば威力が弱くなるという推測が立てられ、それがおおかた正しいのでその理論をもとに服を作成しています」


うん?


「正確に言えば、魔素は基本的に人類が観測することができないため、魔法が魔素が綺麗に並んでいるというのは仮説にすぎないということです」


そうなんだ。


「話を元の戻すと、魔素を乱すには魔力を持っているものでなければならないので、あの服には魔力のある素材、すなわち魔物の素材を使って作られています」


なるほど。


「そして、表面は魔素を乱すためにわざとギザギザに織り込んでいます。まあ、人の目には見えないほどですが」


そう言って、ハンカチらしい何かを取り出した。


どこから取り出したかはやっぱり見えなかった。


「これが一応魔力を乱すように編まれた生地です。余りの生地でよければ差し上げますが、いかがですか」


「ぜひ、いただきたいです」


そう言うと、カホさんは布切れを渡してくれた。


手触りが片面だけ少しざらざらしている。


でも、目で見ても表と裏の違いがわからない。


「あと、魔法を和らげるのであって、完全に無くせるわけじゃないですよ。あと、何度か生地に魔法をぶつけると摩耗して、和らげる効果が下がりますから、魔法に当たらないのが一番です」


結局そうなのか。


「一応、魔法を防ぐと言う点では特殊な金属では可能だと言われていますが、今は大きく数を減らしているエルフのみが加工法を知っているとかで基本的には手に入りませんね」


この世界、エルフいるんだ。


「また、魔物の中には魔法を防いでいると思われる種は数種いますが単純に耐えているだけの可能性もあって、あまり参考になりません」


そんな気合いみたいな感じで魔法耐えるやつもいるのか。


「まあ、実験をするのはいいですが、くれぐれも怪我のないように」


しっかりと注意された。


……気をつけます。



サラ姉( ´ ▽ ` )「レイくん、安全に注意するんだよ」

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