26.老紳士②
もうちょっとだけサラ姉です。
「しかし、剣筋や体格は良いものを持っている。私が及ばないほどに」
老人は少し目を緩め、過去に思いを馳せるように告げた。
「とはいえ、まだまだ未熟。ただひたすらに剣を振りなさい。振り続ければ、いつか必ず見えるものがあるでしょう」
老人は少し枝の強度を確認した。
「ふむ、少しだけその頂を見せて差し上げねば。目指すものもわからないでしょうから」
老人は野次馬の方を振り返った。
そして、懐から金貨を取り出した。
「武器はなんでも構いません。短剣でも、両手剣でも、槍でも腕に自信があるものは向かってきなさい。私に少しでも当てることができたら金貨十枚を差し上げましょう」
野次馬から歓声が上がる。
腕に自信のありそうな者が次々と出てきた。
「いつでも。まとめてかかってきても、ご自由に」
そう老人が告げると、挑戦者たちは合図もなしに一斉に襲いかかった。
ーーーー
しばらく経った後。
地面には挑戦者たちが疲れ果てて、倒れていた。
「ふむ、当てられた者はいないですね」
老人は後ろからの攻撃も見えているかのようにいなしながら、一歩も動くことがなかった。
大槌も枝を縦に当てることで受け流していた。
そして、何よりすごいのは一度も老人の方から攻撃を仕掛けていないのだ。
また、誰かが怪我してもおかしくないほど密集して武器を振り回していたのに、誰も怪我をしていない。
隔絶した実力差がそこにはあった。
「少し、頂を拝むことができたでしょうか?」
「……は、はい」
「それなら、よかったです。励むことですね。また会う時を楽しみにしていますよ」
老人はそう告げると、野次馬の中を抜けて、立ち去ってしまった。
簡単に補足(''◇'')ゞ
老人は執事服です。(昼なのでモーニングコート)




