25.老紳士①
謎の老紳士
一体何者!?
サラ姉の視点です。
私は木剣を背中から外して、前に持ってくると、老人は笑いながら言った。
「ふはは。面白いことを言うお嬢さんですね。私が言うのも変ですが、もう少し手順を踏んでからの方がいいですよ」
少し恥ずかしくなって、顔が赤くなる。
「とはいえ、その心意気やよし。よく見抜きましたね」
そう言った瞬間に、少し老人から圧を感じた。
思わず距離を取ると老人は少し笑みを浮かべながら、周りを見渡して、枯れ枝を拾い上げた。
数度振り回して、強度を確認すると「ふむ」と言って、私と向き合った。
「少し、注目を集めてしまったようですね」
その言葉で周りを見渡すと、通行を待っていた人たちが、みんな見にきていたり、馬車からのぞいていたりした。
「では、剣を構えなさい」
「でも、そんな枝じゃあ打ち合うと折れちゃうんじゃ…」
「折れるとお思いで。では、勝負はこうしましょうか、私に少しでも剣を当てる、もしくはこの枝を折れたらあなたの勝利、私はあなたの木剣を折ることができれば勝利で」
これ以上は相手を怒らせるだけだと思い、すぐに私は剣を正眼に構えた。
圧倒的にあちらには自信があるようだ。
「では開始の合図はそこの彼にお願いしましょうか」
ちょうど近くまで来ていた野次馬の青年の一人に老人は合図を促すと、青年は少し強張って、私と老人の間に入った。
「はじめ、の合図でお願いしますね」
老人がそういうと、青年はこくりと頷いた。
フーッ。自然体だ。
力み過ぎず、力を抜き過ぎず。
ちょうどいい力加減で。
「はじめっ」
青年の合図により始まる。
レイくんの時とは違い、体格差はあちらが有利、おそらく持久戦になったらこちらが敗北するので、積極的に攻めるしかないっ。
「ええ、ええ。若人に胸を貸すのは、老人の勤め。全力で向かってくるといい」
フェイントを混ぜながら、少しでも、相手に当てようと攻め立てる。
しかし全て、掠りもせずに受け流される。
枝を折ろうにも、力を受け流されて、全然うまくいかない。
一回距離を。
「おや、ここまでですか?それではこちらから行きましょう」
今度は老人の方から攻めてきた。
スバッ。
木剣が断たれた。
「ふむ。これで決着ですかな」
一瞬だった。
強いっ。




