ずるい真似したら大規模災害
手持ち、残り銀で5919(+19000)枚と銅0枚。
億を単位にするくらいの昔に、天変地異が相次いで絶滅しそうになった動物たちが『死にたくない、生き延びたい』という願いを重ねた結果、『祖獣』という存在ができました。
この世界の獣人は、『祖獣の恩恵』としてヒト形態をもらい、存在をはじめました。
文明が発展して色々できるようになると、恩寵の抜け穴を探して自分だけいい思いをしようという者も出てきたわけです。
この物語の教訓は、
「一人だけならいいだろうと思ったか? 神々の目には、全員の連帯責任だ」
です。
古い古い時代、賢獣会議と呼ばれる特別な祖獣の集まりの後、獣人となりヒト姿を得た我らには、祖獣の加護が篤かった。
願えばすぐ真獣形態に成れ、また逆にヒト形態に成ることも容易かった。
ヒト形態は、服を変えることで寒さも暑さも対応でき、多くの種類の食物を食べることができる便利な姿だ。それに道具や荷物を持ち歩くこともできる。
荷物を持った状態で、祖獣に祈り、荷物や衣類ごとヒト身を預け、祖獣の姿で素早く移動した。
移動した先で、また祖獣に祈り、持っていた荷物や衣類を元通りに戻してもらうことも易々とできることだった。
加護を受けた獣人たちは大いに栄えた。
今の獣人は、信仰あつく、加護を得なければそもそも真獣形態にもなれぬ。
それにはわけがある。
とある名前の伝わっていない、強欲で賢い獣人が、形態変化の際に強く祈ることにした。
実際には銀貨を10枚しか持っておらぬのに、
「祖獣よ、私の持っている銀貨は12枚です、必ずお戻し下さい」
祖獣の加護は願いを叶えた。
しかしこの行いを重ねることで、混乱が生まれた。『くらきもの』は、神自らがいずれ混沌に覆わせて楽しむために作っている最中の世界を、定命の愚者がひっかきまわしていることに怒りを覚えられた。
『くらきもの』の陪神が祖獣に警告を発し、祖獣もまた怒りを覚えられた。その怒りは大きく、その時代の全ての獣人から、加護は取り上げられた。
多くの祖獣崇敬者が嘆き、祈り、供物をささげようとも祖獣の怒りは強く、真獣形態は生半なことでは辿り着けぬ恩寵となり、半獣形態すら軽重がうまれた。
真獣形態とヒト形態を易々行き来することで、成り立っていた世の中は大きく乱れた。
狩りも採集も手間と時間がかかるようになり、作物づくりも滞り、商売は期限を延ばさざるを得なくなり、あるいは取引そのものができなくなった。
多くの獣人が死に、餓え、作ることも売ることも衰え、大変な時代を何世代も重ねることになった。
真獣化の誉れにあずかる者に、警告をこめてこの物語をするようになったのは、こうした歴史があってのことである。
祖獣に嘘偽るな。
ただ委ねよ。
「……というお話。幻獣の私達にも当てはまると思って行動してね、マーエ」
ごくり、とつばを飲み込んで、無言のアタシ。
まず頭に浮かぶのは、
(銀貨何枚持っていたっけ!?)
という疑問で、答は5919枚。
「正確な数を覚えているから大丈夫ですよね?」
思わず敬語になっちゃうのを、カーリお姉さんはにっこり笑ってくれて。
「ただ委ねよ、っていう締めくくりだったでしょ。余計なことを考えずに、『元のヒト形態に戻してください』って念じてるほうがいいってこと……」
そしてちょっと考えてるような沈黙の後。
「……神様からみれば、新たにつながりを得た小さい子(マーエのことね)が、何か願う、期待する、それってもう、お力をいただいてしまうことになりかねないから。」
「考えない方が良いのかー」
足を癒してもらったあの時を思い出す。
神様は「強い足、速い足、考えるだけでナントカを踏み越える足、あと理解できない何かをどうかできる足は欲しいか?」と尋ねてこられた。『何かしてあげたい』感じがひしひしと伝わってきた。
ちょっとでも何か考えたら、あの感じで奇跡がもたらされちゃうんだとなると、考えるのは危険だ。
全都市の幻獣が変身できなくなる危機だ。
「無心になるっていうのが無理なら、頭の中でひたすら『元のヒト形態に戻してください』だけ唱え続けるのをお勧めするよ。」
と、お姉さんのありがたい助言。
神様に直接つながりがあるのも、考え物だなってちょっと思った。
手持ち、残り銀で5919(+19000)枚と銅0枚。
オリジナル設定:『くらきもの』信徒たちは、主神の「世界を混沌で覆いつくすのが楽しみ」を実現するため、法を敷き、法を遵守する秩序だった世界を作るために熱心に活動しています。警察組織を作り、法律を教え、裁判制度を常に改良し続けています。全ては神様のためです。
黒手組を作った神も、名前を明らかにしていない陪神の一柱です。
お読みいただきありがとうございました。




