再び山の中
手持ち、残り銀で5919(+19000)枚と銅0枚。
今回こそ戦闘回です!
2026/4/2 ちょっと説明的な部分を書き足しました。
ここで一番の問題は、『ウーズって移動速度が遅いよね』ってこと。
家と家の間を通ってきた速度が最高速度らしく、アタシが(幻獣のちからを使わないで身体能力だけで)全力疾走したら軽く置き去りにできる。たぶんテイ=スロールも同じことができる、ってくらい遅い。
しかもウィザードには、このでかぶつを誘導するという仕事があるから、戦力外。
他の皆で分散しながら切りつけ殴りつけーの、アタシは蹴りつけてーの、で時間稼ぎするしかないかな?
そこまで話合ってたとき、すいっと挙手したシノビがいた。
「オレの符術で足止めは出来ると思う。設置するまでの時間稼ぎしてくれたらいいよ」
リクミさんだっ……! しっかり仕事出来るオーラが漂っている(素敵)。
心の中できゃーきゃーしてたけど、それはあくまで心の中だけ。アタシだって『仕事出来る』オーラを放ちたかったんだもん。
あの黒いガスの正体が、『呪詛』と分かったからには、対策もできようってもんで。
≪ミズスマシ≫にまた水を出してもらい、その水にはアタシが『光を反射してキラキラするくらいの神気』をこめて聖別。
この水を全員で頭からかぶりましょう!
という段になって、誰も一歩前に出ようとしない。
「……勇気を試されますね。」
お父様がぼそっと呟いた。
アタシはもうちょっと正直だった。
「寒そう。」
「任務完了までの辛抱ですよ!」
シノビ女性が励ましてくれるけど、いやいやいや。寒いもんは寒い。神様パワーを使えば、水を暖かくすることはできる。残念なことに、かぶったあと、全員分の位置把握しながらその水の温度も保つとかいった細かいことは、できないんだよな。
という話をした。
「片付いたら、すぐ≪水よ出ていけ≫でみんな乾燥させちゃうから!」
「それで妥協するしかないかー。」
「仕方ないですね。」
こうして、お父様が一番にバケツ一杯の聖別された水をかぶった。全員がびしょ濡れでガタガタ震えそうなのをこらえながら、再び山へ。
まず一番足の遅い≪ミズスマシ≫と先導するテイ=スロールが移動開始した。
幻獣姿のアタシは機動力高いので、大きく迂回して斜面の上に出る。シノビ女性とボリスで、樹木が避けた道を直行。リクミさんは木立の中を隠れながら移動していく。
上空から、呪詛の中をぐるぐるしてる、カラジ(巨大地虫の姿)を見つけて、作戦開始。
まずアタシは目立つ囮なんだから、先制攻撃。当初は倒すつもりで放とうとしてた『すごいエネルギーの塊』を、『すごく絞ったエネルギーの小石』くらいに小さくしたものを、触腕の間に作る。
別に気づかれたって構わなかったけど、気づかれなかったわ!
いけ! 小石!
「ぎょおおおおお!」
小石くらいの光弾でも、びっくりさせる効果はあったみたい。そして、人間の眼球が大きくなったような目玉が、ギロリってアタシを睨みつける。
アタシの役目は、ここで。
「ふふーん」
て感じに触腕を揺らして、見下す(実際に上を取ってるし)こと。
やつが後ろ足で立ち上がる体勢になるのを見計らって、アタシは脚にちからを込める。
空間跳躍!
直後に、アタシの居た空間を鉤爪が薙ぐ!
それを三回やって、ついでに、
「当たらないでーす! どんくさーい!」
と声を大きめにして言ってやった。木立のかげに、ボリスと女シノビが位置に付いたのを確認したので。
土煙とも呪詛とも見える黒い煙をぶわっ、とたてて、上半身を地面に戻すカラジ。そこから全身に力をみなぎらせてる。
あっ、全身をバネにして跳躍とかする気かな。(ウジ虫がよくやるやつ、ってつい連想した)
ギラギラした眼が上目づかいに睨みつけてくるのを、わざと挑発するように触腕を振って見せる。
来なよ、って風に。
やつが跳躍する、その一瞬前に、魔力を帯びたボリスの斬撃が右わき腹を抉った。一撃、いや二、三、四連撃。
唸り声をたてて振りむこうとするとき、女シノビの投げたナイフが、首の殻の合わせ目に突き立つ。
動きが鈍った。もう跳躍どころじゃない。
二人のほうへカラジが向かいそうになる、そこにアタシは突っ込んだ。
普通に重力に身を任せて、真上から蹴りを。
ガッとやると、そこだけ殻が爆ぜとぶ。
その間に、ボリスは移動してるし、シノビさんは樹木を蹴って別方向からまた、投げナイフ。
その投げナイフの風切り音が、別のところからもした。
軽い木板を糸で結び付けた、投げナイフの音。複数。
魔力のうねりが感じられて、木立の中からの、
「せーの!」
の声に合わせて、軽装戦士とシノビさんが後ろへ跳躍。アタシはとっくに空中。そして、『範囲内で地面に触れているもの』は重たくなった。
主に、カラジ(巨大地虫)が。それが、リクミさんの仲良い『重さ』の精霊のちから。
重すぎて動けなくなってるのを、ざまーみろと観察しながら地面に降りると、変な音がした。
ミシ…ミシミシ… バキッ……
「ああああ! 重すぎて自重で死にかけてらぁ!」
「魔力緩めて、リクミさんん-ーーーー!」
とかいう遣り取りしてるうちに、≪ミズスマシ≫を従えたテイ=スロールが到着して。
無事、巨大地虫を取り込んで、死にきらない程度に分解し続けるという難事業は達成できたのだった。あと、ちゃんと≪水よ出ていけ≫で乾かしたりもしたよ!
手持ち、残り銀で5919(+19000)枚と銅0枚。
お読みいただきありがとうございました。




