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残り銀貨500枚からの再スタート  作者: 切身魚/Kirimisakana
181/189

妙に強調したもの言いですね

手持ち、残り銀で5919(+19000)枚と銅0枚。


 応報の神、名前は知られてるけど実際の人気は無いです。

 崇敬したって、手に入るのは復讐パワー、しかもやり方が神様視点からの大雑把すぎるもの。

 定命の者の細かな要求を伝えられるようになるまで、何年何十年と崇敬続けて修行するほど、『復讐心あふれる崇敬者』はあまり居ないのです。(絶対いないとは言い切れない)

 ≪万神殿≫育ちだと、一般のひとより多めに、神学やほかの学問に触れる。でもって、神学の基礎の基礎は、こういう風に始まる。


「我々が生きているのはすべて神々の御力あってのこと。神々は、大きな神も小さき神も等しく、我ら定命の者たちを気にかけておられます」


 気にかけているといっても、私たち普通に暮らしてる者たちは、神様の大きな視座からすると、砂粒のように小さい。特別に訓練を積んでいない者にとって、砂粒をひとつひとつ見分けることはできません。神々からみた我々も同様です。

 ですが、似たような砂粒のなかに、キラキラ光る小石があれば、どうです?

 見つけ易く、注目するでしょう。

 神々にとって、僧侶、神職、聖者と呼ばれる修行を積んだもの、≪徳高きもの≫はそんな光る小石の様な存在です。


 というお話をしてくれた育て親が、フッと表情を消したのを覚えている。


「異形の魂の持ち主も、同じように神々の目に留まり易い」


 そういった後、気持ちを切り替えるように、無理やり明るい笑顔になった。


「だから皆、気をつけなさい。迂闊な願い事をすれば、思いもよらぬ形で神々が叶えて下さる。『三つの願い』の話はもう聞いたことがあるでしょう……」



 思い出終了。

 つまり、『異形の魂』には、≪異界の魂の持ち主≫も含まれるんじゃないかなってこと。


「推定ですが。応報の神とか居ますからね」


 テイ=スロールの前置きに反して、後段が推定というよりほぼ確定に聞こえるんですけど。

 応報の神、人気が…低い目…あんまり……、という話は色々な所で耳にする。『叶え方が洒落にならない』タイプの神様としても有名で、講談にも演劇にもよく出てくる。


 あの巨大地虫はアタシを見つけて、即座に、傷つけようと攻撃してきたから。

 カラジの肉体が死んで、離れた魂は異形だから、神々には見つけ易かったろう。

 定命の者の『願い』に強く聞き耳を立てている神があれば、その願いを叶えてやったろう。「復讐してやりたい」とか「仕返ししたい」とかそういう願いに応えるのなら、応報の神さま。


「神々よ……」


 それ以上は(言っちゃったらよろしくない影響があり得るので)言わないけど、ボリスの顔はすごく苦々し気だった。

 黙ったまま同意に頷くのは、アタシ含めて全員がやった。


 でもこれ、どうしたらいいんだろう。

 神意だよ。神意。私は幻獣で、≪深淵に眠る御方≫という神様と繋がってるけど、それだって卑小な(だって定命だし)存在なわけで。陪神のような小さな神様にすら、神意には逆らえない。


 途方に暮れた沈黙が落ちた。


 一番立ち直り速かったのは、樽型の機人さんだった。


「神意が為されたことは、もうどうしようもないよね」

「無いねぇ」


 答えるのは円盤持ちの機人さん。そこに機械腕もちの機人さんも加わって。


「でも神意に干渉しないことなら、何とかできるな」

「できるねぇ」


 円盤持ちさん?

 あなた何を、てか、どういう話をしようとしてるの?


「じゃあじゃあ、例えばなんだけどー、『死んだら、魂が近くの生き物に宿って、復讐するにふさわしい姿に変化《へんげ》できる』なんて神意の御業が為されたらどーしたらいーのかなー?」

「そうだねぇ」


 その頃には、皆がまじまじと円盤の機人さんを見つめていたけど、機人は気が付いてないフリで続けた。


「『死んだら』近くの生き物に憑りつくんだから、『死なない程度に弱らせて拘束』したらいいんじゃないかな。丁度ここには、『分解』の出来るウーズが居る。ウーズマスタリーを心得た術師も居る」


 兜みたいな頭だから、目は見えないけども、その視線がじっと、テイ=スロールに向けられて。

 小さく頷く。


「結論しますと。これ(そう言って、テイ=スロールは≪ミズスマシ≫のほうへ杖を振った)で包み込んで、死なない程度に分解し続ける……で、良いのでしょうか。」

「そうだねぇ。ま、我らは『勝手に』思い付きを『世間話してただけ』だから、実際に何かするのは君たちにお任せするんだけどねぇ」


 機人が、妙に強調したもの言いをして、たぶんにっこりしたんだと思う。そんな気配だった。


手持ち、残り銀で5919(+19000)枚と銅0枚。


 あのあの、次こそ、次回こそは戦闘回になる予定です。


お読みいただきありがとうございました。

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