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俺が好きなのどっちなの!? 『生ワキ』それとも『あの娘』だけ!?  作者: カプサイシン
1章 『恋』ってなぁに?
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相談

そして時はプロローグの後へとつながっていきます。

「ーーでさ。ここからが本題でさ。その時は踏みつけられると痛いだけだって考えてたから這いつくばって逃げたんだけど、その途中でヘッドロックされる訳よ。それでアイアの生ワキが顔に密着しちゃったんだよ。最初はめちゃくちゃ苦しかったよ? でも段々と肌の柔らかさとか時折薫る女の子の匂いとか、たまに汗の匂いとかに意識が傾いてさ。それをきっかけに俺、アイアに女の子の部分を感じちゃって。だからさ、もしかして俺、そういうの趣味なんじゃないかな、とも多少思うんだよね。なぁ、覇太郎。これがいわゆるワキフェーー」


「待って待って待って待ってっ!!!!」


 俺の話を聞く間凍り付いていた覇太郎が、なんだかものすごく慌てた風に覇太郎が俺の言葉を遮った。


「なんだよ? 『どんな経緯があったのか詳しく話せ』って言ったのは覇太郎じゃんか」

「僕それ以上聞く勇気ないよっ!? どうしたのさ急に!! 今までのカズキは『俺そんな事興味ねーし』なんて言う、硬派気取りの童貞丸出し男だったじゃないか!!」

「うるせーよ!! 言い過ぎだコンチクショー!!」


 多感な高校生の時期の言葉を引用しないでほしい。耳をもぎたくなってくるから。

 咳ばらいをして心を落ち着けて、再び覇太郎に持ちかけた『相談事』に話を戻す。


「俺にとっても急過ぎる感情だったんだよ。だからこの感情は一体何なのかを、恋愛マスターであるお前に相談しているんじゃないか」

「わかんない!! 僕わかんないぜっ!? 君のその感情は一体何なんだ!!」

「逆に質問するなよ!! 俺が聞きに来てるんだから!!」

「おぉ~~ぅふっ」


 覇太郎は頭を抱えて机に臥せてしまった。

 俺はもしや、それ程までに得体の知れない感情を手に入れてしまったのだろうか?

 でもどうしても知りたかった。

 この、俺のこの、感情はーー


「……なぁ、覇太郎。俺はどっちが好きなんだと思う……?」

「……え゛?」

「『アイア』と『生ワキ』、俺はいったいどっちに『恋』してしまったんだと思う……?」

「……お゛ぉ~~~~ぅふっ」


 あぁなんだか覇太郎が余計ヤバい感じによじれてしまった。


「ど、どうした? やっぱり何かおかしいかな?」

「う゛んっ!!」


 掠れた声で今日一番の大きな返事をする覇太郎。やっぱり俺はおかしいのか。


「『生ワキ』に『恋』するとか有り得ないだろう!!!!」


 覇太郎の怒号が空の教室に響き渡る。びっくりする。

 俺、覇太郎が怒鳴ったところなんて5年付き合って初めて見たんだが。


「で、でもさ……アイア以外の『生ワキ』にも目が行くんだぜ……? この時季はまだノースリーブの女の子が結構いるだろう? そういった女の子たちが髪をかき上げる瞬間とか、大きく伸びをする瞬間とか、どうしても狙って見ちゃうんだ」

「それは、女の子に興味がある男なら、別におかしい行動じゃないだろ!?」

「ああ……だけどさ……」


 何故か怒髪天を衝く勢いの覇太郎に気圧されつつも、俺は悩みの本質を口にする。


「その女の子たちを見て、『生ワキ』に挟まれたいなんて気持ちまで抱くのはどうなんだ?」


「…………ぉあ゛?」


「やめろ! そんな壊れかけのアンドロイドみたいに表情の抜け落ちた顔で、理解不能なモノを見る目を向けないでくれ!!」


 ああ、どうしよう。俺のせいで全女子の憧れの覇太郎が狂ってしまう。

 もしこのまま壊れてしまったら、覇太郎ファンクラブ(非公式)の会員共にリンチされてしまうのではなかろうか。

 しかし、俺の不安は見事に杞憂として終わってくれる。

 瞳に色を戻した覇太郎は、額に手を当て俯き、自分を制御するかのように息を整え始めた。


「…………カズキ」

「は、はい……」


「カズキはアイアのことを特別に思っているよな?」

「……え?」

「アイアが他の男と話しているだけでソワソワしたりするところとか、話題に頻繁にアイアが上がるところとかさ……」

「そ、そうかな……?」


「……。逆にアイアはカズキのことをどう思ってるんだと思う?」

「はぁっ? いや分かんないよそんなの」

「いい年齢の女子が部屋に異性を上げる意味とか、脚をずっと見られてても嫌わないこととか、ノースリーブでお前ともつれ合ってたのだってさ……」

「まぁ、あいつは気のいい奴だから、大抵の事は許してくれるしな……。部屋に上げてもらえるのは、だって幼馴染だしなぁ……」


「……」

「……?」


「……それだけ?」

「……え? それだけって……?」


「……」

「……??」


 プッツーン、と俺は何かが切れる音を耳にした気がする。

 それも、目の前から。


「……あぁもうっ焦れったいわっ!!!!」


 ドカンと火山の噴火のように、腹の底に響くほどの声を覇太郎は張り上げた。


「は、覇太郎……? 」


 大怪獣が吠え揚げるかのように背を反らして天井に声をぶつけていた覇太郎は、そのままイナバウアーに移行するのではないかと思うほどの斜め姿勢で俺を指差す。


「うおぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおっふぉぉぉおおおう!! っダメだ!! 僕はこれ以上言えない!! 君たちは!! 自ら踏みだす一歩で前進しなくてはならないっ!!」

「ふ、踏みだす?」

「そうだ!! だから!! 君は一度!! じっくりと今までの自分とアイアを振り返ってみるべきだっ!!」

「おっ、おい!!」


 覇太郎は荷物を持つと走って教室の外へと去っていってしまった。


「一体、何だってんだよ……。しかし、あんな覇太郎は初めて見たな……」


 普段から覇太郎はあまり激しい感情を表に出すタイプではなかった。

 そんなアイツが「ふぉぉぉおおおう!!」などと叫ぶとは。


「一度、じっくり考えるべきなのかな……」


 俺がアイアと出会ったあの日からを振り返って。

覇太郎、個人的に大好きなキャラです。

この子が取り乱す姿をもっと見たい笑

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