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俺が好きなのどっちなの!? 『生ワキ』それとも『あの娘』だけ!?  作者: カプサイシン
1章 『恋』ってなぁに?
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振り返り

カズキの回想から始まります。

 小学校から家に帰ってきてランドセルだけを置き、逆上がりの特訓のために近所の小さな公園に駆けていった夏休み直前のある日。

 鉄棒のところに辿り着き、さあ始めるぞと意気込んだその時、目の端に見慣れない少女が映る。

 綺麗な長い髪を風に揺らし、陽に焼かれて少し赤くなった肩を出したその少女は、それほど高くもない木の下でジーっと木の上を見上げていた。


 時折背伸びをして上に向けて手を伸ばしているので、何か木の上に乗ってしまったんじゃないかと簡単に考えは及んだ。そこですぐに話しかけに行けばいいんだけど、泣き言もなくただ手を目いっぱい上に伸ばす少女の姿にどこか見惚れていて、俺は鉄棒に手を付けながら一回転もすることなくただ少女をチラチラと眺めていた。

 ジャンプをするとスカートが捲れ上がってピンクのハートマークのおパンツがあらわになり、腕を上に上げる時に伸びきった体の横面からは惜しげもなくワキが披露されている。その無防備であられもない姿を、俺は子供心に照れながら、見てはいけないものだと自分を律しつつも、しかし何故かしっかりと目に焼き付けていた。

 一体どれだけの間その光景に釘付けになっていたのかわからないが、木に手をかけて危な気に登ろうとし始めていた女の子にハッとする。


 グラグラと体を不安定に揺らしながら登る姿を危ないと思って、その木の下まで必死で走って声を掛けた。すると女の子はまだそれほど高くには行っていないにもかかわらず、登る時の倍の時間をかけて降りてくる。そして代わりに俺が取ってくると言うと、今まで泣き言を漏らさなかったのが嘘のようにポロポロと大粒の涙をこぼした。

 今までは心細くとも我慢していたのだろう。それが俺に話しかけられたのをきっかけに堰が切れたようだ。


 俺はやはり今まで一度も木登りをしたことのなかった女の子を後ろにやる。木へと登ってピンク色のビニールボールを取ってあげると、手元に戻ってきたボールを両手に持ち、女の子はとうとう泣き止んで今度はひまわりのように明るい笑顔を咲かせてくれた。


 その子はお礼を言うと、それから木をスイスイ登る俺に感激したのか、木登りを教えて欲しいと言い始めたので、夏休みを通して2人で特訓をすることにしたんだ。

 そうしてどんどんと仲良くなり夏休みが明けてからも、同じ小学校に通っていると知った俺たちは待ち合わせしたり、お互いの家に行くなりしてよく遊ぶようになった。

 もちろんその女の子こそが幼少の頃の御堂アイアである。




「子供の頃のアイツは可愛かったんだよなー……」


 俺は大学の最寄りの駅まで1人ダラダラと歩きながら、アイアとの出会いを振り返っていた。


「あの時木登りを教えなければ、もしかすると活発なアイアは生まれなかったのかもしれんな。そうしたらずっと可愛いままだったのか、惜しいことをしたな……」


 ブツブツと、回想から過去の自分の選択を悔やんだ。

 木登りを習得して以来、御堂アイアの名は多くのイベントを通じて小学校全体に轟くこととなったのだ。


 これまで全く運動に興味の無かったアイアだったが、木登りを通じて体を動かす楽しさを知ってしまった。夏休み中などは俺を連れ立ってよく公園に出かけるようになったから、足は速くなり体力もメキメキとつき、その成長は著しかった。


 運動会ではクラス対抗リレーで最終走者として最下位からの全員抜きを果たして1位。


 なわとび大会では30分ぶっ続けで飛んで、先生に「もうこれ以上は……」と止められる形で抜群の1位。


 マラソン大会では2位に2分遅れを付けての堂々たる1位。


≪キングコング≫なんて男子にからかわれるようになったりもしたが、度々俺との間で勃発していたケンカ(アイアの完全勝ち越しである)で腕っぷしも磨かれていて、意地悪をしてくるようなやつらも次第にいなくなり、最終的には全校生徒から一目を置かれる存在へとなってしまった。


 そんな才能の片鱗を見せ始めたアイアに対して多少の気後れはしていたが、それでも俺との間の友人としての仲は全く変わりはしなかった。しかし友人として仲良く過ごしていたからといって、アイアを異性として意識しなかったのかと言われればそうではない。


 今思えば割と性への目覚めの早かった俺は、遊びの途中途中でチラチラ見えるアイアの素肌に結構ドギマギしていた覚えがある。

 まぁ、公園で初めてアイアと出会ったきっかけも、俺がアイアのスカートやらワキやらをチラ見してたからという非常にカッコ悪くスケベなものだったからな。


 そんな小学生時代から心身ともに成長し、中学生となって思春期を迎えた俺はさらに色々な知識を吸収して、アイア個人だけではなく女性自体への興味を覚え始めた。

 精通し、おっぱいやら〇〇〇(※自主規制)やら〇○○○(※自主規制)のエロさを年相応に理解した俺は、これまで以上に制服のスカートの裾辺りの観察や体育の時間のよそ見にご執心だった。


 ただもちろんガン見という行為がどれほどドン引きされることなのかも、日々のニュース番組や男子たちとの会話の中で社会常識として学ぶことができていたので、小学生の頃とは全然違う意味でのチラ見だ。

 異性として意識をして女の子を見始めて、改めてアイアは同世代の中で抜群に可愛いんだと感じることになった俺は、中学生となって盛んになってきた恋愛についての話などに流されて、もしかしたらアイアに『恋』しているのかもしれないと思うようになった。


 結局告白は1度もしてないが。


 人よりアイアが可愛く見えるのが本当に『恋』なのかもわからなかったし、それ以上に今充分楽しく過ごせているんだからこのままでいいじゃないかという思いがとても強かった。

 幸運なことにアイア自身もまだ恋愛とかそういうのに興味を覚えていなかったのか、男子に何度か告白されていたようだけど全部断っていたようだ。

 男子がアイアに近づくと、毎回俺は恋ともなんとも呼べないような複雑な気持ちが充満して胸がモヤモヤとしてしまったのだが、

 アイア自身に特に変化がないことを悟るとホッとして小学生時代と変わらずに遊んでいた。


 そして高校生となって覇太郎と出会うと、アイアに声を掛ける男たちはめっきり減る。

 常に3人一緒にいるにも関わらず、付き合う雰囲気の無い覇太郎とアイアの様子を見て、明らかに自分が覇太郎より劣っている自覚のあるやつらはアイアに告白する前にその想いを諦めたのだろう。

 そんな高校時代からは恋愛に対して焦るようなことも少なくて、今に至るまで3人で心の底から楽しい時間を過ごすことができている。

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