返事
しかし妹がいないところで、正喜が肩に手を回してきたりと、やけに馴れ馴れしい。
男女でも『幼馴染みの親友』という事か?
男同士だった時、僕と正喜はしょっちゅう肩を組んでいた。
というのも正喜がやたら接触してくるヤツだったのだ。
お陰で『ホモだ』なんて噂も立てられて冗談じゃなかった。
自分がホレた女の子に「私、貴方に負けないから!」とかライバル宣言されてみなよ。
どうして良いかわかんないから。
今回の恋愛はまだマシなのかな?
僕が百年に一度の大恋愛をした。
相手の名前は高梁嶺子さん。
生徒会長で、女子柔道部の部長さんだ。
それは大した話じゃない。
問題は嶺子さんのホレた男の子が僕の幼馴染みの『正喜』だと言う事。
それは良い。
良くないけど良い。
僕は常に恋愛で敗北してきた。
今回も『正喜に敗北した』それだけの話だ。
正喜に恋愛で負けたのは五回や六回じゃない。
『常敗将軍とは僕の事よ』
対して正喜は『常勝』だ。
正喜がフラれてるのなんて見た事がない。
「何だ今回もいつものパターンか」
そんな話なら良かった。
いや良くない。
どっちやねん。
どうやら正喜は僕とスキンシップを取ろうとしているらしい。
僕はそれを『男同士のスキンシップ』だと最初勘違いしていた。
そんな訳ないじゃん。
だって正喜の認識の中でだって僕は『女の子』なんだから。
手に入れた情報を総合すると、どうやら『正喜は僕を女の子として見ている』ようだ。
だから正喜は裸の僕を見て、真っ赤になっていたんだ。
でもちょっと待てよ?
正喜、昔から『女には興味ない』って態度だったじゃん。
やたら僕にベタベタしてくるのは何なのさ?
僕ら二年生の教室は二階、年子の妹達、一年生の教室は三階。
三階に行く妹と僕らは別れる。
もう、遅刻間際の時間だから廊下には誰もいない。
二階の廊下には僕と正喜しかいない。
「じゃあ教室に急ごうか?」正喜。
「あ、うん」どうやら席が違うらしい。
男の時、結構背が高かった僕は、後ろの方の席だった。
女になって身長が150cmない僕は、一番前の席があてがわれたようだ。
僕を前の席に案内しようという正喜と、男だった時に座っていた後ろの席に向かおうとした僕の目的地が交錯してぶつかった。
ただぶつかっただけじゃない。
ぶつかった二人は抱き合い口づけした。
「ごめん」と正喜が僕を抱き締めながら言う。
「でも、イヤじゃなかった。
むしろ嬉しかった」と僕を再び抱き締めながら正喜。
「うん」と僕。
何だ、その返事は?




