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三倍段  作者: 海星
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守破離

 日本で闘うとセーブポイントが更新されるらしい。

 今回、半グレと闘ったからセーブポイントが新しくなった。

 つまりレベルは上がらないけど日本で闘わなきゃダメ、と。

 でも『新しいセーブポイント』ってどんなトイレなんだろうね?

 前の多目的トイレが清潔でかなり『あたり』だっただけにちょっと気になる。

 『新たなセーブポイントが設定されました』ってシステム音声が頭の中に流れただけなんだよね。

 でもレベルは上がらなくても筋力は上がるし、技能は覚える。

 どうやら僕は日本でも異世界でも強くなれるようだ。

 これを『大当たり!』と考えるか、武器を全く扱えないのを『大はずれ』と考えるか。

 それはこれからを見ないとわからない。

 取り敢えず、今はアルバイトに励もう。


 「らっしゃっせー」

 「ライチさん、やる気がないコンビニ店員じゃないんですから!」

 僕の教育係の山下さんが言う。

 確かに『やる気がないコンビニ店員』でこんなのがいる。

 でも僕は『やる気がないファミレス店員』だ。

 やる気のなさじゃ『コンビニ店員』になんて負けていない。

 そもそも何でストッキングを履かないといけないのか?

 イヤだって言ってるの!

 頭からかぶるってば!

 「頭からストッキングをかぶっているウェイトレスなんてどこにもいません。

 大体そんなウェイトレス、誰にも求められていません

 ライチさんはストッキングを履いたウェイトレスの存在意義がわからないんですよね?

 でも我々はストッキングを頭にかぶったウェイトレスの存在意義がわかりません。

 それにストッキングは冬場暖かく、脚のラインを綺麗に見せます」と山下。

 根が素直なんだろうな。

 普通、「頭からストッキングかぶれば良いじゃねーか!」とか言い出す狂人の説得なんてしないよ。

 「はい、貴女、明日から来なくて良いですからね」これで終わりだろう。

 つーか、それで終われ。

 何で山下さんは僕を見限らないんだろう?

 「ついに見つけた!

 理想のウェイトレス!

 足首のしまり方といい、

 脚の長さといい、

 顔の小ささといい、

 乳の小ささといい・・・」

 もちろん、山下さんの思い込みだ。

 山下さんが思う『理想のウェイトレス』には確かに僕は見た目は近いのかも知れない。

 だが、ほとんどの世間一般の人が思う『接客業に向いていない人』に僕はあてはまる。


 「ホラお客様が来ましたよ!

 先ずは私の手本を見て『接客』を覚えてください」と山下さん。

 「断る!

 『アンタの接客を覚える』ということは、『アンタの真似を覚えなきゃ一人立ち出来ない』という事だ。

 そんな時間はない。

 僕は僕なりの『接客』を確立する!」と僕。

 「ウェイトレスの接客は『守破離』で表現されます。

 守・・・先ず、教えてもらって『基本』を覚えます。

 破・・・基本をふまえ、他流を学習などします。

 離・・・すべての基本をふまえた上で、己の新しい型を作り上げます。

 まずは私に従って『ウェイトレス道』を正確に覚えて下さい」


 なんか面倒くさくなってきたな。

 別にウェイトレス究めたくないし。

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