ファミレス
ゴリくんは普通の高校生だった。
ファミレスの厨房でバイトをしていたが、バイト代に釣られて『闇バイト』の話を聞いて、そこで僕と出会った。
僕の場合「だまされた」と言うより、女の子のバイトの見つけ方をよく知らなかった。
だから街中でのバイトの勧誘にホイホイついて行ったら『闇バイト』だった。
ゴリくんはバスケットボール部に所属していて高身長に見られがちだが170cmギリギリないらしい。
あれなんだろうね?それで
ゴリくんはバッシュが欲しくてバイトをしていた。
僕はゴリくんの紹介でファミレスのバイトを始めることになった。
時給1000円は厨房仕事の中であんまり高くないっぽいけど、前借り出来るっていう魅力にはかえがたい。
他の監禁されてた子らとは駅前で別れて、ゴリくんと2人で繁華街にあるファミレスに向かう。
「監禁されてたってのに家に帰らなくて良いの?」と僕。
「俺は一人暮らししてるんだけど親にアルバイトは禁止されてる。
『そんな暇あるなら勉強しろ』って。
でもバスケは好きだし新しいバッシュは欲しい。
バイトしなきゃバッシュは買えない」
「それでホイホイ、知らない人についていったら『闇バイト』やらされそうになったの?」
「面目ない」
「まあ、僕も偉そうな事は言えないよ。
知らない人についていったのは僕も同じだし、僕の場合はカップ麺大量にもらって帰ってる訳だし」
「しかし、君、良い度胸してるなあ。
銃を持ってる『桜木』、1人で倒したんだろう?」
「いや、アイツが勝手にコケて、勝手に気絶しただけだってば!」本当はそんな事はない。
ただ銃を持っている相手と闘った事が発覚したら、取り調べとか面倒な事になりそうだから謙遜しておく事にした。
本当はバックレるつもりだったんだが、バイト先が同じだったらバックレる訳にはいかなかったから、出鱈目を語ったのだ。
ゴリくんも親や学校に『闇バイト』のアジトに出入りした事がバレる訳にはいかないようで、僕と秘密を共有することになった。
「バイト中はタイツを用意してもらいます」とホールリーダー。
何で厨房の面接をホールリーダーがやるんだよ!?
まぁそれは『人手不足』の一言で片付けられてしまう事かもしれない。
まただ。
バイト情報誌でも、ファミレスは『タイツを用意しろ』という話だった。
だから、タイツを買う金がなかった僕は『闇バイト』のアジトまで連れて行かれたのだ。
そもそも何でタイツが必要なのか?
「何でタイツが必要なんですか?
頭にタイツをかぶってお年寄りの家に強盗に入るんですか?」と僕。
「いや、ファミレスのバイトが組織的に老人宅に強盗に入る意味がわかりません」
「だから『ファミレスのバイト』なんていうのは世を忍ぶ仮の姿で、実は強盗だったり」
「バイト面接に来た人に『実はわたしらは"ファミレスのバイト"じゃなくて強盗なんですよね』てバラしちゃう。
全然忍んでないですね」
「はい、僕も驚きを禁じ得ません」と僕。
「もう一つの可能性も考えてみませんか?
実は「ただのファミレスバイトで『強盗』じゃない」
「そんなのおかしい!
だったらタイツはどうするんですか!?」
「ストッキングは履いて下さい!
履きたくないんですか?」
「その通りです。
何でクソ暑い厨房でストッキング履かなきゃいけないんですか!?
暑い厨房内では『ストリーキングOK』ならまだわかりますよ?」
「ストリーキングとは抗議のために裸体になる事です。
性的な意味はありません」
「だから『暑い!』とファミレス経営スタッフに抗議する厨房スタッフが次々と裸になるのです!」
〜30分経過〜
「いいですか?
貴女はホールスタッフです。
適材適所というモノがございます。
イヤならウチのファミレスでは働けません」
金は絶対に必要だ。
今日中にバイトは絶対に決めざるを得ない。
僕はファミレスのホールスタッフになった。




