↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
三倍段  作者: 海星
PR
24/40

カップ麺

 桜木がハンドガンを右手で構える。片手で持てるらしい。

 「左手は添えるだけ」ってわけね。

 しかし元ボクサーが両手使えないんじゃあまりにもマイナスが大きくない?

 マイナスを差し置いても、威力がとんでもない武器って事?

 とにかくハンドガンで撃たれちゃいけない。

 桜木がハンドガンを僕の方に向ける度に、僕は反復横跳びをして銃口を避ける。

 こんな避け方はきっとダメなんだろう。

 でも『ハンドガンの避け方』ってマニュアルを読んだ事ないんだからどうしようもない。

 どうやら桜木は銃を乱射する気はない。

 その理由が『そんなに弾がないから』なのか。

 『銃声が近所に漏れやすいから』なのかはわからない。

 ・・・待てよ?

 あのハンドガン自体が、モデルガンの模造銃もしくはモデルガンそのものなんじゃないか?

 何にしても桜木は積極的にハンドガンを撃つのを避けている。

 だとしたらハンドガンは元プロボクサーの両手を塞いでくれているどうしようもない『重り』だ。

 チャンスかも知れない。

 殴り合ったら普通に敵わないだろうが、桜木は両手に手錠を付けているようなモノだ。


 僕は銃口を向けられた時、右に一歩横跳びをする。

 もちろん延々と右に避けれる訳じゃない。

 部屋の形状で部屋の隅に追いやられることも考える。

 だから僕は部屋の隅に追いやられないように、桜木の周りをグルグル回る。

 そうさせない方法なんていくらでもあるだろう。

 そして僕は部屋の隅に追いやられてしまう。

 だが桜木がバカで助かった。

 いや、桜木は僕を追い詰めたくなかったのかも知れない。

 追い詰めたら僕をハンドガンで撃たないといけないから。


 「ウロチョロ、ピョンピョンと!

 じっとしてやがれ!」と桜木。

 ふざけんな!

 じっとなんて出来る訳がないだろ!

 僕は撃たれたくない。

 僕の短い人生でこれだけ反復横跳びしたのは初めてだわ!

 しかしいつまでもここで反復横跳びしてる訳にはいかない。

 隣の部屋には桜木の仲間たちが仮眠取っている。

 僕がドタドタしてたら仲間たちが起きてきちまう。

 そうだ、今が逃げるチャンスなのかも知れない。


 僕は今まで桜木の周りを反時計回りをしていたが、瞬間的に時計回りをした。

 僕は桜木の右手横に回る。

 「あ」桜木はマヌケな声を出す。

 桜木はあさっての方を向いて、ハンドガンを構えている。

 僕はハンドガンを握っている桜木の右手首を左手で掴む。

 そして右手で桜木の胸ぐらをガッチリ掴む。

 そして掴んだ胸ぐらと右手首を引き寄せながら身体を落として腰を回す。

 僕は桜木を『体落とし』でおもいきり投げた。

 下はフローリングだ。

 障害物も多い。

 桜木は床や床に転がっているモノに後頭部を打った。

 普段から片付けておかないテメーが悪いんだ。

 あと、受け身は練習しとこうね。

 桜木は朦朧としている。

 逃げよう!

 僕は部屋に閉じ込められている子らを逃がす。

 自分の意思で『闇バイト』に参加していた、ろくでもないヤツもいるかも知れない。

 でもそんなヤツらを選別してる時間もない。

 そして、僕は段ボールに入っていたカップ麺を拝借した。

 窃盗か?

 窃盗なのか。

 まあ、後は匿名の通報者という事で。

 「あのマンションで『闇バイト』の半グレがいます」ってね。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。