飯
殺意を何度も感じている。
モンスター達は漏れなく僕を殺そうとしているからだ。
僕もモンスターを殺そうとしている時は殺意ダダ漏れだろう。
当然だ、ぶっ殺そうとしてるんだから。
それはしょうがない。
『生存競争』というヤツだ。
しかし、この『桜木』という男の殺意というのが本気で気に食わない。
誰もが死にたくない。
それはたとえ、僕みたいなズルを使って死ににくかったとしても死にたくはないものだ。
『死に戻り』があっても、死ぬ瞬間は絶望だ。
痛いし、苦しいし、寒い・・・そして何より怖いのは『何も感じなくなっていく』という事だ。
痛いのも、苦しいのも、熱いのも、寒いのも感覚が脳と繋がっている、という事だ。
本当に死ぬ寸前になると、そんな苦痛を一切越える瞬間が来る。
最初はそれが何だかわからなかった。
だが『死に戻り』を繰り返しているうちに「痛みも、苦しさも、熱さも、寒さも感じなくなる。
これが『死ぬ』という事だ」とわかるようになった。
どれだけ辛くても『生きていたい』と考えるのが人間だ。
自分も死にたくないから、相手も殺したくない。
この桜木という男は『人を殺す』という行為が作業にすぎなく、そこに感情が加わるなど考えた事もない。
いや、きっとゲームでスコアを得るような『快楽』のみはあったのかも知れない。
僕が『桜木』を許せないのは『全く自分の危険を考慮していないところ』だ。
コイツ殺す事は何とも考えてない。
殺されるとは思ってもいない。
それで今まで何人殺してきただろう?
本当に許しがたい。
・・・なんてのは建前で、実はスライム3匹倒した後、擦れ違い様に死角からゴブリンに石斧で殴られたんよね。
レベル低い時にゴブリンに石斧で殴り殺されてる。
石斧の先は石器みたいになってて、切れ味もかなりある。
なのに背中に石斧を振り下ろされたのに「ビックリした!何すんねん!」ぐらいの痛さだった。
傷跡は一切残らない。
もしかしたらだけど、コイツらが弱くて大した武器持ってないなら、無傷で倒せるんじゃないの?
「元プロボクサーだ!」
そこそこ強いし鍛えてあるんじゃねーか!
大した武器持ってない事を祈ろう。
出来れば『果物ナイフ』みたいな武器が良いな。
『石斧』より弱くないと、怖くて近づけないもん。
『桜木』はコートの内ポケットからハンドガンを抜いて構えた。
はい、僕の妄想終わり!
何だよ、キチンと強い武器持ってんじゃんか!
打たれたらおそらく死ねるよ!
どうする?
「冗談ですやん!
反抗するわけないですやん!」て強引にネタにするか?
土下座するか?
コイツらに従って、年寄りの家に強盗に入るか?
それはイヤだ。
この先うまい飯が食えなくなりそうだ。
『チンピラの持ってるハンドガンが粗悪な改造トカレフだった』
この可能性に賭けよう。
やだなぁ、撃たれたくないなぁ。




