闇バイト
「お姉ちゃん、お帰り!」妹が僕に飛び掛かってくる。
油断した!
殺られる!
・・・と思ったが、ベタ馴れな大型犬のような妹に飛び付かれるだけだった。
妹は大きい。
僕がまだ男で、180センチ弱あった時僕よりはさすがに小さかったが。
でも170センチはあった。
150センチない僕より妹は遥かに大きい。
しかし凄いプロポーションだ。
足は長いし、乳は大きい。
僕も自慢じゃないが足は長い。
だが乳は盛り上がってすらいない。
抉れてないだけで。
乳がクレーターのように抉れてる人は見た事ないが。
妹は同じ高校だが、生徒会に所属している優等生だ。
言葉遣いなんかも丁寧だったけど、何故か僕に対しては『お兄』と。
「ちゃん」くらいつければ良いのに、わざわざ付けないのは僕に対する憎しみみたいなもんだろうな、と。
だけど何で憎まれているんだか見当もつかない・・・と思っていたら、いつの間にか『お姉ちゃん』と呼ばれるようになっていた。
まぁ、いいや。
「僕は今からバイトの面接に行ってくるから」と妹に言う。
「ふーん、行ってらっしゃい。
でも『僕』っていうの、正直、バイト先で受け悪いと思うよ?」
「え、そんなに?」
「業種によると思うけど」
「どんな業種はダメ?」
「よくわかんないけど」
「どないやねん。
それはともかく『アルバイトには黒のストッキングを着用してください』って言われてるんだよね。
僕、持ってないし貸してくれない?」
「良いけどはくの?」
「無いと採用してくれないって言うんだもん。
履く気はないけど持ってはいかないとね」
「伝線する時は一回しか履かなくても伝線するから。
貸し借りするモノじゃないのよ。
大体履かないならストッキングあってもどうすんのよ?」
「えっと・・・かぶる?」
「どんなバイトよ!?
闇バイトの強盗じゃないんだから!」
闇バイトでした。
『お婆ちゃん?
もしもし?
オレオレ』僕はマニュアル通りに電話をする。
僕はリストにある老婆に電話する。
『誰だい?
武彦かい?』
老婆は耳が絶望的に遠いようだ。
「ババア、誰がたけひこやねん?」僕はゲタゲタ笑いながら老婆に返事をする。
「ダメだ、この子、絶望的に『カケコ』としての才能がないみたいだ。
強盗の一味として、年寄りの家に押し入らせようか?」
犯罪グループのサブリーダー『桜木花道』と呼ばれている男が言う。
「強盗なんかする訳ねーだろ?
僕は小学生の時に母さんの財布から千円札を抜いて母さんにグーで殴られて以来『人の金には手を付けない』って決めてるんだよ!
テメーらが悪者だとわかってたら、ここまでついてこなかった!」
「・・・良い度胸じゃねーか。
お前、俺らのアジトまでついてきておきながらいきがった事、後悔してももう遅いからな!」
僕だって実は無茶苦茶怖い。
残念ながら実はちょっとチビっている。
でも僕には『死に戻り』がある。
『殺す』か『殺される』かだったら『殺される』だろう。
だから啖呵を切った。
『桜木花道』が指の関節をボキボキ鳴らす。
幸運にも犯罪グループのメンバーは『桜木花道』しかいない。
別室で『流川楓』と『三井寿』が寝ている。
犯罪グループはワールドワイドで海外と連絡を取り合っている。
だから、二十四時間体制という訳だ。
基本的に日本で『カケコ』はしない。
海外から国際電話でするのだ。
ここに集められたバイトはそのうちに東南アジアへ連れていかれる。
一時的に悪党のアジトに拐われてきたのだ。
そこで現在、研修みたいな事をさせられている。
だが、僕には『カケコ』としての才能が壊滅的にないらしい。
だったら、強盗メンバーはどうだ?
という話になってきた。
よし!
ゴブリンやスライムなら結構倒した。
『桜木花道』がナンボのもんじゃい!




