妹
僕は勘違いしていた。
正)『女子高生はストッキングを履く事がある。』
誤)『女子高生は総身タイツを着る。』
総身タイツって、仮面ライダーの敵役、ショッカーが着ているようなヤツだ。
「何でそんなもん着るんだろ?
知らんよそんなもん、頭おかしいからだろ?」
とにかく妹が総身タイツを持っているハズだ。
だって妹は女だもん。
その総身タイツってファミレスのバイトで何に使うんだ?
子供連れできた客の子供をショッカーに変身して拐うのかもね。
最近『闇バイト』とか話題になってるじゃん。
そんなのには気をつけないとね。
僕はそんな事を考えながら、家に帰ってきた。
家はマンションだ。
母さんは外交官だし、片親とは言え貧乏じゃないだろう。
ただ頻繁に母さんは家にはいないし、日本にもいない。
だからこの世帯向けのマンションで僕と妹は二人きりなのだ。
「広すぎる」ことも「狭すぎる」事もない。
ただ二人は空前に仲が悪い。
「シーン」とした時に『広すぎる』と感じることもあるし、たまには話しようかな?と「どこに行ってたの?」と妹に聞いたら「過干渉ウザッ!」と吐き捨てられたこともある。
「なんで妹と同じ空間にいなきゃいけないんだよ!?狭すぎるだろ!」と感じた事もある。
でも干渉しなくて良い事がありがたい事もある。
考えてみて欲しい。
兄が姉になって帰ってきたのだ。
そんなん、家族会議モノの大事件だ。
はあ、と大きく息を吐く。
険悪だった兄貴が姉貴になって帰宅凱旋だ。
受け入れられる方がおかしい。
妹には二十発くらい殴られるのは覚悟している。
妹は殴らないのかって?
いくら仲悪いからって、妹殴って良い気になってるようじゃ男としてヤバいだろ?
マンションの部屋に入る。
オートロックじゃない。
このアパートとマンションの中間な感じがたまらん。
何がたまらんのかわからないが。
家のドアを捻る。
鍵はかかっていない。
どうやら妹は家にいるようだ。
これから妹とのバトルが始まる。
いつも言い負かされるが、今日はそれどころじゃない。
「誰だ?テメー?」から始まるだろう。
当たり前だ、大嫌いなアニキが女になって登場したんだから。
警戒しない方がおかしい。
パタパタとスリッパを鳴らして妹が奥から出て来る。




