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三倍段  作者: 海星
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20/40

妹

 僕は勘違いしていた。

 正)『女子高生はストッキングを履く事がある。』

 誤)『女子高生は総身タイツを着る。』

 総身タイツって、仮面ライダーの敵役、ショッカーが着ているようなヤツだ。

 「何でそんなもん着るんだろ?

 知らんよそんなもん、頭おかしいからだろ?」

 とにかく妹が総身タイツを持っているハズだ。

 だって妹は女だもん。

 その総身タイツってファミレスのバイトで何に使うんだ?

 子供連れできた客の子供をショッカーに変身して拐うのかもね。

 最近『闇バイト』とか話題になってるじゃん。

 そんなのには気をつけないとね。


 僕はそんな事を考えながら、家に帰ってきた。

 家はマンションだ。

 母さんは外交官だし、片親とは言え貧乏じゃないだろう。

 ただ頻繁に母さんは家にはいないし、日本にもいない。

 だからこの世帯向けのマンションで僕と妹は二人きりなのだ。

 「広すぎる」ことも「狭すぎる」事もない。

 ただ二人は空前に仲が悪い。

 「シーン」とした時に『広すぎる』と感じることもあるし、たまには話しようかな?と「どこに行ってたの?」と妹に聞いたら「過干渉ウザッ!」と吐き捨てられたこともある。

 「なんで妹と同じ空間にいなきゃいけないんだよ!?狭すぎるだろ!」と感じた事もある。

 でも干渉しなくて良い事がありがたい事もある。

 考えてみて欲しい。

 兄が姉になって帰ってきたのだ。

 そんなん、家族会議モノの大事件だ。


 はあ、と大きく息を吐く。

 険悪だった兄貴が姉貴になって帰宅凱旋だ。

 受け入れられる方がおかしい。

 妹には二十発くらい殴られるのは覚悟している。

 妹は殴らないのかって?

 いくら仲悪いからって、妹殴って良い気になってるようじゃ男としてヤバいだろ?


 マンションの部屋に入る。

 オートロックじゃない。

 このアパートとマンションの中間な感じがたまらん。

 何がたまらんのかわからないが。


 家のドアを捻る。

 鍵はかかっていない。

 どうやら妹は家にいるようだ。

 これから妹とのバトルが始まる。

 いつも言い負かされるが、今日はそれどころじゃない。

 「誰だ?テメー?」から始まるだろう。

 当たり前だ、大嫌いなアニキが女になって登場したんだから。

 警戒しない方がおかしい。

 パタパタとスリッパを鳴らして妹が奥から出て来る。

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