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三倍段  作者: 海星
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17/40

ポジティブシンキング

 女子更衣室に連れていかれる。

 僕から入った訳じゃないからね!

 嶺花様は既に着替えている。

 ちくしょう、着替えを見れるチャンスだったのに!

 ・・・ってそういう話じゃない。

 つーかここには僕の着替えがないんだよ。

 早くおもらし付きの柔道着を脱ぎたいのに。


 ここまでは制服で来ているからバッグは武道館にある。

 ただ男子の更衣部屋にある。

 女子と比べて男子は倍以上の人数なんで、男子は更衣室は使っていても足りない。

 だから、部屋全体を『更衣室扱い』にしている『更衣部屋』がある。

 そこでも男子の更衣部屋は無茶苦茶混み合う。

 だから「ここは自分等の高校の荷物を置く場所だ」なんて主張してくるヤツがいてトラブルになりがちなのだ。

 朝、強豪校の一年生とトラブルになったのはそういう事だ。


 それはともかく、女子柔道部員は男子部員と比べたら本当に少ないんで、武道館の女子更衣室を普通に使えている。

 ちょっとうらやましい。

 ・・・が、そんな事考えてもしょうがない。

 だって女子更衣室に僕の着替えはないんだから。

 「ホラ、ライチも早く着替えなさい。

 じゃないと正喜くんが先に着替えて帰っちゃう!」と嶺花様。

 あれー?イメージ違うなー?

 僕が思う『高梁嶺花像』はお嬢様って感じで、こんな「恋に恋する女の子」って感じじゃない。

 わかった事は一つ。

 嶺花様も正喜にキャーキャー言ってる女の子達とかわらない。

 いや、そのものだ。

 でもその事で誰に文句を言われる筋合いはない。

 だって運動も勉強も高校でダントツのトップだ。

 母親が外交官だというし、子供の頃から語学堪能らしい。

 好きな男の子が出来て誰に何を文句を言わせるモノか。

 そうだ、嶺花様が僕の親友を好きになったから、何だという話だ。


 「それより早く着替えなさい!」と嶺花様。

 僕は嶺花様から一般的なスクールバッグを投げ付けられた。

 スクールバッグに『男用』も『女用』もない。

 僕も持っている。

 というか、このスクールバッグが僕のスクールバッグだ。

 何でコレが女子更衣室にあるんだろう?

 どこにあるかわからないよりは状況的に悪くない。

 取り敢えずバッグを開ける。

 バッグの中には着替えが入っている。

 シャツとブラウスが入っている。

 シャツを羽織る。

 別にこの暑さだったらシャツは無しでも良かった。

 でも嶺花様は僕が『シャツなし、ブラなし』な事を激しく咎めた。

 「ありえない」と。

 ブラなしなのはしょうがない。

 ないものはないのだ。

 しょうがなしにシャツを羽織る。

 自分が「女になった」とまだ半分ぐらい認められてない。

 しかし女神も言っていた。

 『女神の眷族は女性だと』

 僕は毒にうなされていた時、確かに「女神の眷族になります」と言ってしまった気がする。

 女性になった時の矛盾はどうなるんだろうか?

 そう思っていた。

 『元々女性だった』

 どうやらそういう認識になるらしい。

 元々僕は女子柔道部に入ってたことになってて、嶺花様は部活の同級生。

 いきなり女性になったんだ。

 いきなり男性に戻る事もあるかも知れない。

 というか、そうであることを信じよう。


 ブラウスの上にジャージを羽織る。

 下半身は・・・スカートだ。

 おいこらふざけんな!

 でも着替えは他にはない。


 ①スカート

 ➁柔道着(お漏らしつき)

 ③パンツ(男性モノ、ボクサーパンツ)

 ➃裸


 さて、どれを選ぶか。

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