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三倍段  作者: 海星
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13/40

規則

 腹が減った。

 異世界にあるモノ、全てが食えるか食えないかがわからない。

 目の前に旨そうなキノコが生えている。

 見た感じ、しめじみたいだ。

 きっと美味い。

 不味い訳がない。

 ええい、食っちゃえ!

 僕はキノコを串刺しにして、カセットコンロの火で炙って食った。

 そんな美味くない。

 いや、クソ不味い。

 そんな話はこの際どうでも良い。

 そのキノコは食べると痺れる。

 毒があるのだ。

 しかも生命に深刻なダメージを与える毒が。

 『あーあ『シメジモドキ』食べちゃいましたか。

 知ってますか?

 それ、猛毒ですよ?

 基本、不干渉じゃなけりゃ教えるんですけどね』

 そんなん、頼むから教えてくれよ!

 『そんなこと言っても基本不干渉ですし。

 せっかくスライム3匹倒したのに、セーブポイント更新される前だったから、前のセーブポイントまで戻りますね』

 「そんな!どうにかならないの!?

 ・・・幻覚が見えてきやがった!

 女神が貧乳に見えはじめた!」

 ぶちん!

 何かが明確にキレた音がした。

 『まぁ、貴方が勝手に死ににいったんです。

 勝手にレベルアップ前に死に戻って下さい』

 なんか言い草がヤケクソっぽい。

 それもそのはず、かつて女神の貧乳を指摘した者の世界が大飢饉になった。

 そんな話は僕は知らない。

 この女は「乳が小さい」と指摘された腹いせに数万人を餓死させたのだ。

 バカらしい話ではあるが、それだけ乳の話は女神にとって逆鱗だ。

 ・・・とは言うものの、女神は太一を無理矢理異世界に転移させた。

 異世界のバランスを保つため出来るだけ早くに強くなってもらわないと困る。

 ようやくスライムを倒せるようになったところで「また弱いところからやりなおし」と言われても困る。

 ぶっちゃければ、勝手に毒キノコ食べた太一(バカ)に死なれたら困る。


 で、女神に太一(バカ)を死なせない方法はあるのか?

 ある。

 女神は豊穣の女神。

 あらゆる植物の女神だ。

 女神に植物の毒は効かない。

 太一が女神の眷族になれば、キノコの毒は無効化される。

 だが一つ問題がある。

 女神の眷族は『女性』なのだ。


 ここに見解の相違が生まれる。

 太一「僕は男だ。女神の眷族にはなれない」

 女神「あれだけ小さかったら男だか女だかわからない。眷族にはなれるだろう。知らんけど」

 太一は「女神の眷族に男性はなれない」なんて常識は知らない。


 『・・・という訳で貴方を私の眷族にします。

 眷族になれば私と同じ「特徴」を得ます。

 「豊穣の女神」でもある私が持っているスキル「植物毒無効」を貴方も得るでしょう。

 さあ、早く!

 貴方の息も浅くなってきました。

 ここで死ぬのもいいでしょう。

 貴方は得た経験値もステータスも捨て、前回のセーブポイントに戻る事になります。

 それはもったいない、と思うのなら私の眷族になりましょう!』

 何か女神がワクワクしてるみたいだ。

 どうやら女神というのは退屈らしい。

 新しく眷族を得るのが楽しみで仕方ないみたいだ。

 「わ、わかった。

 眷族に・・・」僕は息も絶え絶えに言う。

 『では、貴方は私の眷族となります』

 と、女神は言うやいなや僕に口づけしてきた。

 当然、僕は初キスだ。

 女神が口づけしてきた途端、僕の身体からは毒の息苦しさ、気だるさ、痛さなどが一瞬で吹き飛んだ。

 だが、身体の中で何かが抵抗している。

 そう簡単には女神の眷族にはなれないらしい。

 僕はその抵抗している『何か』を押さえ付けて眷族になろうとしている。


 身体の中での抵抗が止んだ。

 どうやら僕は女神の眷族になれたらしい。


 眷族になれた今となってはどうでも良い話ではあるが天界規則に『女神の眷族は女人である事』というモノがある。

 女神の認識では『これだけ小さければないも同じだろう』と。

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