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右腕の操精者(スピリスト)  作者: くりくりくりーむ
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チクニティ発生装置

「龍界」 

龍界は、攻撃結界の中では最強と言われる。龍のように畝る攻撃結界で威力もかなり高いが、範囲攻撃でもあるため避けることがほぼ不可能。本来は非常に複雑な形状と魂力操作によって生まれる威力と動きだが、ロメロはチクニティによる莫大な魂力量と出力で、それをカバーしていた。

その結界は一瞬にしてマルチバリア・改に絡みつくようにして吸収し、凩に飛んでくる。

 

「さよならだなあ!!こがらしいいいい!」  

「く、あまりこの技は使いたくありませんでしたが…」

数珠よ、我が声に…


「何諦めちゃってんのよ!甘えないで‼︎」 

目の前に橘が現れ、龍界に向かって3つの銃弾を放つ。 

「龍界は、龍のように畝る高火力の結界だけど、ホーミング式ではないわ!逃げて!!」

「は、はい」 

橘の声が響いたのか、即座に結界を張った後に界遇を唱えて龍界から逃れる。

「ん?なぜ君がここにいる」 

「全く手応えがない連中でね、もう倒したわ」  

「2人がかりをこんな一瞬で?銃弾の照準も完璧。しかも龍界の動きを即座に見抜く。君は只者ではなさそうだね」 

「正解。こう見えて、オールラウンダーなのよ?」 


ⅩⅤ

数分前…

岩石韻撃に身体を張った四股握を見て、私は、仲間という存在に気付かされたのかもしれない。

メロックス「まぁいい、邪魔者は消えた、存分にかわいがってやろう!メロスの張った結界によって充分に身動きができないのだからな!!」  

「そう思うかしら?別に動かなくてもアンタたちくらいになら勝てるわよ」 

「あ??口でならなんとでも言えるぜ!!ウゴオオオオオオ!」 

また雄叫びを上げ、周囲の石を集めて大きな岩を作る。  

「じゃあ、実力で見せつけてあげる」 

銃を構えて、メロックスへと狙いを定める。  

その瞬間、影となって消えていた目黒が背後から突然出てきて、首めがけて平行に剣を振るってくる。

目黒「はーい、残念!後ろだぜー?」 

が、それも見切っていたこと。  

「知ってた」

メロックスへと狙いを定めた、というのはただの芝居であって、目黒が攻撃を仕掛けてくるのを待っていただけ。そう、私には全てお見通しなの。  

そう言って目黒からの攻撃を華麗に避けて、足を掛けて地面に倒す。すかさず急所弾(当たった相手の身体の部分を弱点にする弾)を足に2発撃ち込んだ。

目黒「なぜ、それが避けれる…!…⁉︎ガフッ」

目黒は、足を打たれただけで口から血を吹いた自分に、ひどく混乱しているようだ。  

「さあー、なぜでしょうね。とりあえず、急所を撃たれても動けるアンタには、努力賞を上げるわ。」 

「黙れメスガキ。戦いはこっからだ。」 

今度は剣を下に落として拳を握り、血管をバクバクとさせる。

「拳で解決しようと、でもいいわ」 

「俺の鍛え抜いた鋭い拳をくらえ」

「正直、どんなに凄い攻撃も、避けてしまえば意味がないわ」    

目黒は不敵な笑みをこぼし、姿勢を下げる。そして、地面の砂を掴んで橘の目にかけた。

「そうだな、避けれたらいいなぁ?」

「何よっもう!あんたたちダサすぎるでしょ‼︎」

「これは殺し合いだぜ?卑怯とは言わせねえぞw」

そう言って橘の顔目掛けてパンチを繰り出した。

「じゃあな、嬢ちゃん‼︎」

しかし、橘はそれを余裕で避け、目黒のいた場所に銃を撃った。

「そんなバカな、しばらくは目え開かねえだろ!?」

目黒は勝利を確信していただけに、かなり驚いている。

「目だけで動きを追うから、あんたらは三流なのよ。」

「クッソ、じゃあついてきてみやがれ‼︎」

橘は、攻撃を見極める体勢に入って周りを見渡す。

そして目黒は、様々な角度から橘に攻撃を仕掛けた。

「下だ!と見せかけて上!」 

「知ってる」

「ここで食らえ!」 

「知ってるわ」 

「ここか?」 

「ここかもね」

目黒は連続で何度も拳を振るうが、橘はその全ての攻撃を何もなかったかのように避けて、目黒を翻弄する。 

「40ボルトの電流が流れてる上でその動き、、お前は人間の域を超越している…!?」

連続の畳み掛けに息が荒くなったのか、気配がバレバレだ。 

「人間に限界なんてないのよ、ただ、限界を勝手に思い込む人が多いだけ。(電流責めなんて、やられすぎてもう慣れたわよ(心の声))」 

そう言って目黒に渾身の蹴りを首に入れこむ。

「ぐはっ!!」    

「息上がっちゃってるじゃないの」

喉仏を潰され、目黒は白目を剥いて倒れた。

メロックス「ドンマイだったな、目黒!だが、時間稼ぎにしては上出来だったぜ!」 

最大限まで大きくなった岩石が遂に完成する。

「時間稼ぎ、ね。」 

「俺様が仲間の戦いを、ただ指を咥えて見ていたわけないだろう?」 

岩石韻撃・フォルテ‼︎

商業施設くらいの大きさの岩を持ち上げるメロックスを見ても、橘は決して表情を崩すことはなかった。

「時間稼ぎをしていたのは、私の方よ」 

「何をほざく!俺の手のひらで、あえて泳いで見せたとでも言いたいのか??」 

「いいえ、逆よ。手のひらで泳がされているように見せて、こっちが泳がせたのよ。」  

そう言って、指先に魂力をこめる。

「私はね、魂力のこもってないものの物理運動を操れるの。」

「つまり、、何が言いたい!?」 

「私が目黒の相手をしている間に、アンタに時間をつくらせて特大の岩を作ってもらったってわけ。さっき見たわよ、あんたの岩、作る時に魂力を使うだけで、あとはただの力技じゃない。だから、その岩は私の操作下にあるのよ。」 

「ヒィっ」

恐れをなしたメロックスは、岩を放つことができなくなる。しかし、その間にも岩は成長し続ける。

「ぐう、、重い…。」

「どうしたの?そんなに顔赤くしちゃって。もしかして童貞さん?」

「畜生が…」

すでに岩の直径は50メートルを超えている。かと言って投げ出せば、岩が自分の方に飛ばされる。そんな葛藤を2分ほど続けたあと、メロックスは覚悟を決めた。

「もういい、操れるもんなら、操ってみやがれぇぇぇ‼︎」

しかし橘は落ち着いて言い放つ。

「ハッタリな訳ないじゃない、残念だったわね。」

岩石韻撃・フォルティッシモ‼︎

「フウウン‼︎」

メロックスは挙げていた腕を大きく前に振り、岩を投げ出す。

地面が落ちるような轟音と風圧の中、橘は落ち着いて落ちてくる岩に指を差した。

その瞬間音は止み、岩は空中で静止した。

「だ、ダメか…くそお…!」

「お仲間が言ってたわよ?これは殺し合いだって。」 

「お前、、、」 

「私は、空間能力者なの。物体のある場所、大きさ、速さとかを瞬時に把握し、操れる力よ。人ならどの方からでも察知できるわ。」

「だからさっきから攻撃が一向に当たらなかったのか…」  

「んーと、残念ながら、攻撃を予測することはできるけど、それが身体に追いつけるかどうかはまた別問題。アンタたちが私よりも遅いから、避けきれただけであって、対応できない相手もいるわ。じゃあ、あんたはあんたの技で死になさい。」

そう言って、メロックスの足に銃弾を当てた。

「ぐあっ…この、、、、」

橘は上にあげた指を、青ざめるメロックスに向け、姿を消した。

どごおおおおおおん

「やっぱり大したことなかったわね。早くあいつらを助けに行こうっと。」

岩の下から大量の血が流れ出ている。橘はそれを確認し、凩の援護に向かった。



「はぁ、はぁ…界遇‼︎」

「ダメじゃないっすか先輩、逃げるだけじゃ面白くないわよ!?」

これはまずい。時間を稼いで増援を待たないと。四股さんは無事なのか?このままじゃ、魂力で押し切られて負ける!

「お前こそ、なんでそんなに龍界を連発できるんだ!?」

「だから、チクニティ発生装置のおかげって言ってるじゃないっすか。」

「本当か…?」

いや、明らかにおかしい。魂力は、生物にしか発生しない。機械をつけたからと言って、そんな安易に魂力が強化できるわけはない。きっと何か、、何か、、、

「何悩んでるんだ?コロすゾ‼︎」

「なんですかそのイントネーションは?病気ですか?」

明らかに口調がおかしい。さっきも、わよ?とか語尾につけていた。

「あんまりおしゃべりに付き合う気はないんすけど、そうっすね、なんか最近語尾とかイントネーションが変になることがたまにあるんだよねぇw。」

今のもそうだ。昔のあいつなら、そんな気持ちの悪い喋り方は絶対しない。

「そのチクニティ発生装置のせいじゃないのか?何か心当たりは?」

「負けそうだからってそういうこと言うのやめましょ?先輩♡勝てばいいんですよ、勝てば……じゃあ、おしゃべりは終わりっすね。」

そう言い、再び龍界の印を結ぶ。

「またかっ…!仕方ないですね…」

凩は苦い顔をして手に持っていた数珠を一つ千切った。

「数珠よ、我が声に応え、御霊を一つ与え賜え…」

そう唱えると、千切った数珠が光を発し、魂のオーラが凩を包む。

凩は、両拳を半分開き、魂力を集中させた。すると、凩を取り巻いていたオーラが一筋になり、杖のような形に変化した。

珠界道奥義:錫杖

見たことのない技に、メロスは驚く。

「一体何の技だ?まあいいか、俺の龍界は最強だ。次で終わらせてもらうっすよ」

そう言い、メロスは全身に力を込める。

「うおおおおおおおっ」

すると、チクニティ発生装置が赤く光り、メロスの魂力が倍増する。

「これこれぇ‼︎力がみなぎるコノ感覚がったまらネェんだよ!」

麻薬でも吸ったかのような喋り方の後輩に、凩は杖を差し向ける。

雷神の狙撃エレクトロスナイプ‼︎

「龍界‼︎」

凩が技を放った瞬間、雷鳴が轟き、稲妻が女城の足と肩を貫く。

「ぐあああっ、なんでだ、龍界はどうした!?」

ビルの上から下を見ると、そこには雷に粉々にされた龍界が散らばっていた。しかし、女城は再び笑みをこぼし、叫ぶ。

「チクニティ、最大出力だぁぁぁぁ‼︎」

なっ、まだ最大出力じゃなかったってのか。

女城はよろめきながら、竜の顔の形にした両拳を交差させた。

「これが本当ノッ必殺技ッてヤツさ…」

神龍界‼︎‼︎

「来たな‼︎もう一度だ、エレクトロスナイプ‼︎」

二つの結界がぶつかり合い、雷の音と竜の鳴き声が響いた。凩は数珠によって作られた錫杖を、女城は両腕をかざし、結界を押し合う。

「うおおおおおお‼︎」「おらあああああ‼︎」

両者の結界が真ん中で止まったところで、女城は全てを解放する。

「ああ、今なッらモッと上にいケる‼ここッで出して、おワラせッてやるわ‼︎もっとだぁぁぁ‼︎」

バチィ‼︎

そう言って女城が叫んだ瞬間、神龍界が途切れ、雷が女城の腹と左胸を突いた。

「ア…アァ……。」


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