入院/手術(4/8日目)
水曜日の朝6時過ぎ。
部屋の電気が点灯し、自然と目が覚める。
前日の18時から何も食べていないので、とてもお腹が空いていたが、手術日なのでどうしようもできない。
大人数部屋で、ほかの患者のもとに朝食が運ばれてくる。美味しそうな匂いが漂っており、また1つ大人数部屋を選んでしまったことを後悔した。
ただ、お腹が空いていると思ったのは寝起きだけ。寝起きから覚醒し、自分の置かれている状況を改めて認識しだすと、途端に緊張が始まった。
あぁ、そうだ。今日は人生初の手術の日だ。全身麻酔だ。
すぐに恐怖も襲ってくる。失敗したらどうなるんだろう、など。正直執筆している今となってはそんなことあるわけねーじゃん、と思うが、当時の自分はかなり怯えていたと思う。
ただ、ここまでくるともう逃げようもない。あとは時間が迫ってくるのを1分、1分と待つだけ。
7時、8時と時間が過ぎていく。時間の流れは早くも遅くもなく、ただ淡々と進んでいた。そんな中、ただただ精神統一。
予定時間の9時。
覚悟を決めた自分は、今か今かと看護婦さんが来るのを待っていたが、まだ来そうにない。
ここでの焦らしは精神的にきつい。。もう早く来てくれ。そして早くこの緊張、恐怖から解放してくれ。。
10分過ぎ後にようやく看護婦さんがやってきた。ついに来た!と思ったが、どうやら主治医が30分ほど遅れるらしく、予定時間は9時30分過ぎになるらしい。(勘弁してくれ!!!)
9時30分過ぎ。
ついに担当の看護婦さんがやってきた。ここまでの入院期間で見たことのない若い看護婦だった。
ストレッチャーを引いてきて、横になるように指示を受ける。緊張していたせいかスリッパを履いたまま横になろうとして、「スリッパは置いていていいですよ~」と優しく注意される。
スリッパを脱ぎ、左手首に刺さっている点滴の液体をストレッチャーに移し替えて、無事にストレッチャーに横になることに成功。
そのまま看護婦さんにストレッチャーを押されて、エレベータへと向かう。
自分は緊張しているとよくしゃべる癖があり、エレベータへと向かう間少しだけ看護婦さんと雑談をしていた。
「今日、人生で初めての手術なんですよ。」
「あ、そうなんですねー。私もまだ経験はないです。こうやってストレッチャーで押すのは何度もあるんですけど。」
「あ、そうなんだ。まぁ、手術しないに越したことはないですからw健康が大事です、ほんとに。」
「そうですよね、自知さんも若いのに大変ですね。。腰のヘルニアの手術は最近多くなっているらしいですよ。」
「あー、担当のお医者さんにも同じこと言われました。やっぱり在宅ワークが流行りだしてから、腰に悪い体制で働く人が多くなってるんでしょうね。この手術が終わったら絶対にいい椅子を買います!」
確かこんな雑談だったはず。エレベータの中でも会話を続けてくれて、手術に対しての恐怖心は少しずつ下がっていった。あの時の看護婦さん、ありがとうございました。
そして2Fの手術室前に到着。ストレッチャーを押してくれた看護婦さんはここでお別れとなり、手術室前にいた麻酔専門のお医者さんに受け渡されることになった。
麻酔専門のお医者さんはベテランっぽいおばちゃんのお医者さんだった。
ベテランっぽいと感じるだけで少しホッとするこの感覚、なんと呼べばいいんだろうか。とにかく今の自分には渡りに船。とても安心した感じで手術室のベッドに移ることができた。
しばらくして主治医の登場。遅れたのは何も言うまい。とにかく、ほんとに頼みます。という気持ちを持ちつつ、麻酔専門のお医者さんの説明を受けていた。
「じゃあ、そろそろ全身麻酔を始めますね。左手首の点滴から麻酔薬を入れたら効いてきますので。」
と言われ、ようやくこの時が来たか!とちょっと楽しみになっていた。
人生初の全身麻酔。どれだけ自分の意識が抗えるかを少し楽しみにしていたが、ここでトラブル発生!
なんと左手首の点滴の刺し方?が悪かったらしく、うまく入らないらしい。そしてその先生はとんでもないことを言ってきた。
「ちょっと左からは入らなさそうだから、右に点滴を刺してそちらから入れさせてもらいますね。」
は?なにそれ?またあの痛い針をぶっ刺すってこと?いやいやいや、それは嫌っすよ。何のために初日から左手首に点滴を刺してたと思ってんだ!
「え?何で左は駄目なんです?普通の点滴は入ってたのに。左でどうにか入れられないですか?」
「うーん、何度か試したんだけど上手くいかないから、右にさせてほしいの。」
いやいやいや、困りますって。と言ってももう聞いてくれそうもない。
半ば諦めの気持ち、半ば怒りの気持ちを持ちながら、またしても太い針を右手首に刺されてチューブのようなものを取り付けられ、そこに麻酔用の点滴薬を装着された。
正直痛さを感じるより、怒りの気持ちが強くてなんかあまりどうでもよくなっていた。
そしてすぐに麻酔が投入されるのを目視し、そのまますぐに意識がフェードアウト。あぁ、抗うのなんて全然無理なんだなぁ。。
14時前。
ふと目が覚めると見知らぬ天井、ではなく病室のベッドにちょうど運ばれている最中だった。
どうやら手術は無事に終了。意識を取り戻した時ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間、自分の体の状況がものすごい状態になっていることに気づく。
まず、体はほぼ動かない。手術箇所である左腰の部分が痛いというかなんというか、とにかく動かない状態になっており、横向きになるのもものすごく辛い状況だと気づく。
そして気づきたくなかった自分の下半身に対して繋がっている管。あぁ、これが尿道カテーテルというやつか。
体が動かないというのはもはやどうでもよく、この管が今回の手術後の最大の敵であった。この管は、自分に2つの苦しみをもたらす最悪の管だった。
まず1つ目は痛み。自分のあの敏感な部分に繋がっている管は、とにかくチクチクと痛みを与えてくる。
そりゃそうだ、そんなところに管を刺すことなんてしたこともない人生を送ってきたので、管を刺されたときにこんなにチクチクと痛みを与えてくるなんて初めて知った。
そして2つ目は尿意。微妙な尿意がずっと続くような感じがしている。はっきり言ってとても気持ち悪い。
なんというか常に尿が1滴ずつ出ているような感じで、出るときに毎回チクチクと痛みを与えるというコラボ技もかましてくる始末。
最初は手術部分の腰の部分に気が取られていたが、そちらが全く気にならないほど、尿道カテーテルが自分を苦しめていた。
とりあえず、無事に手術が終わったことを家族や仕事仲間にチャットで連絡。心配をかけていたので無事に終わった連絡ができてホッと一安心。
16時過ぎ。
腰の痛みはあまり感じず、とにかく尿道カテーテルと闘ってると自分の病室に手術を担当した主治医が訪れた。
「自知さん、無事に手術は成功です。見てくださいこれ、これが摘出したヘルニア(髄核と言うらしい。)ですよ。大物です!」
嬉しそうに見せてくる主治医に対して私はとにかく聞きたいことを聞く。
「はぁ、そうなんですね。ありがとうございました。まぁそれはそれとして、ちょっと相談で、早くこの尿の管を取りたいんですけど、取れないでしょうか?」
「あー、それはまだ取るのはちょっと早いですね。自知さん、まだ横向きになれないと思うので、尿瓶での排尿ができないでしょ?仰向けで尿を出せなくなると、逆に危険なので、しばらくは管はつけておいた方がいいですよ。」
「いや、頑張れば横向きになれるので、尿瓶でできると思います。なので管を取ることはできないですか」
「うーん、せめて術日の今日はつけておいてください。明日の朝一なら取ることは許可できますので。」
「分かりました。。」
無事に手術が終わったこと。取れたヘルニア(髄核)が大物だったこと。そんなことはどうでも良くなるくらい管を取ってほしかった。
こいつはやばい。RPGでいうと徐々にHPを減らしてくる毒または火傷または出血のような感じ。じわじわと痛みと不快感を与えてくる。
あ、ちなみに前述していなかったが、腰の術後の部分にも管がついていた。ドレーンと呼ばれる血抜き用の管らしく、血液が溜まらないようにするものらしい。こいつは特に自分にデバフをかけるものではなかったので割愛。
夜。
体力的に疲れていたし、本当は眠りたかったのだが、尿の管が眠りを妨げてきてなかなか眠ることはできなかった。
夜中の1時から3時ぐらいまでは記憶がないのでおそらく寝ていた、というよりは気を失ってたような感じだった。
とにかく、朝一の尿の管を抜くのを心待ちにしながら夜明けを待つのであった。
痛み度。(MAX10です)
<恒常痛み>
腰 :2
左足:0
<限定痛み>
右手首の点滴刺し:2
尿の管:7(継続デバフ付)




